A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (270)
第271話 地上
俺は今ダンジョンの上層を歩いている。
下層から抜けてから既に1時間ぐらいは経過しているが、そろそろ地上への出入口が近い。
地上に出たらギルドとホテルにすぐ行く必要がある。
今回の事情説明と荷物を取りに行かないといけないからだ。
「海斗、あれ出口じゃないか?」
「おおっ本当だな。昨日見た出口だよ。ようやく着いたな」
「久々の外界だよ。長かった〜」
ようやく俺たち3人は出口への階段を見つけて、地上へと出た。
そのまますぐに探索者ギルドへ向かった。
「あの〜すいません」
昨日の受付の人を見つけて声をかけた。
「あ〜っ!」
声をかけた瞬間大きな声で反応が返って来た。
「高木さんですよね。心配したんですよ。昨日、ギルドへの報告がなかったので、今日も連絡がない様だとダンジョンで何かあったのかと。昨日はどうしてたんですか?」
「それが、下層に落ちてしまいまして。抜け出すのに今までかかってしまいました」
「高木さん、ちょっといいですか?言ってる意味がわからないのですが」
「すいません。何がわからなかったですか?」
「いえ、全部です。下層に落ちてしまったと言う意味がわからないです。おまけに今までかかったって事はダンジョンで一夜過ごしたって事ですか?」
「はい。そうですよ。わかってるじゃないですか」
「いいえわかりません。下層に落ちたって、どこからどこにどうやって落ちたんですか?」
「あ〜それがですね。9階層付近から下の20階層付近に落ちました」
「落ちたって……今までに9階層エリアに落とし穴があるとは聞いたことがないのですが」
「落とし穴に落ちたんではないんですよ。穴に落ちたんです」
「高木様、やっぱり言っている意味がわかりません。落とし穴ではない穴に落ちたってどう言う意味ですか?」
「それについては誠に申し上げ難いのですが、床に穴が空きまして」
「穴が空いた?」
「いや、正確には穴を空けてしまいまして」
「穴を開けてしまった?」
「はい。そうです」
「ちょっと待ってください。ダンジョンの床ってそう簡単に穴が空くようなものではないですよ。一体何をしたのですか?」
「それがですね、非常に言い難いのですが、うちのサーバントがですね。ちょっと張り切っちゃってですね。床に穴を空けちゃったんです」
「空けちゃったって……。いくらサーバントでも床に穴を空けるなんて聞いたことがないですよ」
「そう言われても本当に空けちゃったんですよね。でも大丈夫です。穴は自己修復したみたいで綺麗に閉じているので大丈夫です」
「大丈夫って何が大丈夫なのかよくわかりませんが、その話が本当だとして20階層付近に落ちてしまったんですよね」
「はい。そうです」
「高木様のパーティは臨時パーティーでブロンズランクとアイアンランクがお二人ですよね」
「その通りです」
「いくらなんでも、ブロンズランク以下の3人パーティで下層エリアから戻ってくるのは無理でしょう。本当のことを言ってください。処分したりしませんから」
「そう言われても本当なんですよ。な〜真司」
「はい。間違いないです。全部本当の事です。隼人も言ってやってくれ」
「そうです。海斗の言ってた事は全部本当です。下層で野宿して、今日は朝から銀色の虎とか燃える鳥とか氷の刃の亀とかと戦って逃げて来たんですよ」
「からかってますか?そんなモンスターと戦って逃げ延びれるわけがないじゃないですか。しかも下層で野宿ですか?相当高ランクの探索者しかそんなことできませんよ」
「本当なんですけどね〜。そうだ、魔核があります。下層の分は全部で21個あるんですけど、見てください」
そう言って俺はリュックから下層の魔核21個を取り出して見せた。
「これですか?えっ!」
受付のお姉さんは魔核を見て驚いた様な表情を見せていた。