A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (271)
第272話 帰宅
俺は今探索者ギルドにいる。
昨日と今日の出来事をギルドの受付のお姉さんに説明しているが、なかなか理解してもらえないので、手に入れた魔核を鑑定してもらうことにした。
「高木様、この魔核は一体……」
「いや、さっき説明した通り下層で手に入れた魔核です」
「少しお待ち下さい」
そう言うと、お姉さんは一心不乱に渡した魔核21個を識別し始めた。
「どう言う事なのですか?信じられません。全部20階層以上のモンスターのものです。9万円の魔核が4個、
10万円の魔核が3個、12万円の魔核が14個もあります」
恐竜の魔核ほどではないが、かなりの高額買取だ。234万円もあるが、3人で分けると1人100万円にもならない。ベルリアの剣1本分にもならない。完全に赤字だ……
「そうですか。だから言った通り下層に落ちて戻って来たんですよ」
「本当だったんですね。でも、皆様のレベルではこのモンスターを20体以上倒すことは難しいと思うのですが、貴方達は一体……」
「まあそこは企業秘密という奴です。でも、さすがに疲れました。ホテルに寄ってから帰ろうと思うので、買取金を3分割お願いします」
「おいおい、海斗3分割はあり得ないだろ」
「えっ?じゃあどうすればいいんだよ」
「せめて6分割だろ」
「そうそう」
「6分割?シル達の分って事か?」
「そうだよ。本当は、ほとんど海斗達の手柄だけど、俺らも必要経費ぐらいは欲しいから海斗が4で俺らが1ずつな」
「いやそれは流石にまずいだろ」
「いや当然だろ」
「海斗達がいなかったら俺達死んでたしな」
「そう言うなら俺が3で2人で3でいこう。それがいい」
「まあ海斗がそれでいいなら、俺はいいけど」
「俺も槍が溶けちゃったから、60万近く貰えるなら言う事ないよ」
「じゃあそれでお願いします」
俺の取り分は117万円だ。ベルリアの剣と俺のマントとほぼ同額だ。ランクによる割増と購入時の還付を考えると若干プラスになっている。初日の分も足すと今回それなりに稼げた気がする。
よかった。頑張った甲斐があった。
「それじゃあホテルに行こうか」
ギルドを出てから3人でホテルダンジョンシティへむかった。
フロントの人に謝って荷物を受け取り、その足で家に帰ることにした。
来るときは荷物を送っていた真司と隼人だったが、バタバタしたせいで帰りは送る事自体を忘れていたのか、3人で装備一式を装備したまま荷物を持って帰る事になった。
流石にフル装備に近い3人組がバスと電車に揺られて2時間近く移動するのは非常に目立ったが、昨日からの疲れもあって、電車の中では3人とも熟睡してしまった。
駅に着く寸前に隼人が目を覚ましたので助かったが、あのまま寝ていたらどこまで行っていたのか恐ろしい。
「それじゃあまた明日な」
「今回は本当に世話になったな。これに懲りずにまた一緒に行ってくれよ」
「俺達だけだとやっぱり厳しいからな。また頼むよ」
「まあ、イベントがあったらまた誘ってみてくれよ。俺も楽しかったよ」
「ああ、また誘うよ。じゃあな」
「それじゃあ」
「ああ、また明日」
駅で3人解散となったので歩いて家まで戻るが、まだ少し眠い。1時間以上寝たはずだが、監視のために朝が早かったのと、ダンジョンの硬い床のおかげでまだまだ眠い。
ようやく家に着いたが、寝る前にどうしてもシャワーしたくなったので、シャワーしながら全身を洗ってから、自分の部屋に戻ってそのまま眠りについた。
途中母親がご飯の為に起こしに来たが、半分寝ぼけてよく覚えていない。
結局翌朝までしっかりと寝てしまい、起きてから学校に行く準備をして家を出た。
今日から1週間また頑張ろうと思う。