A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (274)
第275話 装備品の補充
俺は今ダンジョンマーケットに来ている。
「春香、さっき言った通り今回の遠征で装備がいくつか壊れてしまったんだけど、また買い物に付き合ってもらってもいいかな」
「うん。もちろんいいよ。いつにしよっか?」
「今日の放課後でも大丈夫かな?」
「うん、それじゃあ放課後にね」
春香にはまだ伝えていないが、前回一緒に購入したバスタードソードが完全に折れてしまったので新調しなければならない。
放課後になり春香と一緒にダンジョンマーケットに向かった。
「海斗、今回は何を買うの?前回は、剣とか買ったと思うんだけど」
「今回は、マントと剣です」
「えっ?この前買ったばっかりなのにまた剣を買うの?」
「実は、今回の遠征で根元からポッキリ折れちゃったんだ」
「海斗、大丈夫だったの?あの剣が折れるなんて。もしかして不良品だったの?」
「いや、そうじゃないんだけど、硬い相手を無理矢理斬ってたら折れちゃったんだ」
「でも、あの剣100万円もしたのにお金は大丈夫?」
「ああ、それは大丈夫なんだよ。今回の遠征でちょうどそのぐらいの収入があったから、それで賄えるから」
「3日間の遠征で100万円ってすごくない?そんなに探索者ってお金になるの?」
「いや、今回は特別だよ。下の階層に落ちちゃったから、モンスターが強かったんだ。その分金額も跳ね上がったんだよ」
「それって、その分危なかった事じゃないのかな」
「あっ、あ、そうでもないよ。今回たまたま運が良かったんだよ。うん」
「そう。本当に無理しちゃダメだよ」
「はい。もちろんです」
まずは、マントを買う事にする。
前回と同じ店員さんを見つけて声をかける。
「すいません。またマントの購入したいんですけど」
「あれ?お客様はこの前マントをお買い上げいただいた」
「そうです。この前オススメしてもらったマントを使ってたんですけど、溶けちゃいました」
「えっ?溶けてしまったって言うのは」
「それがあのマント火には耐性があって良かったんですけど、モンスターの溶解液にやられて溶けちゃいました」
「溶解液でですか?あのマントは一応火だけではなく、溶解液などにも耐性のある素材だったはずなのですが。15階層前後のモンスターではあの素材を溶かす様なモンスターは居なかったはずです」
「ああ、遠征に行った時に20階層よりも奥に潜る機会があって、そこでやられちゃったんですよ」
「失礼しました、お客様は20階層よりも下層に潜られているのですね。それではこの前のマントでは性能不足だったかもしれません。それではオススメはこちらのマントになります。前回のマントよりもより高性能な繊維素材が使用されており、火への耐性だけではなく溶解系そして氷、水などへの耐性も飛躍的に向上しております。お客様の様に下層へ挑まれている探索者様への一押しのマントとなっており、こちらであれば20階層への探索にも十分耐え得る一品となっております」
「そうですか、良さそうですね。値段はいくらぐらいですか?」
「やはり、これだけの一品となりますので量産品とは一線を画しておりまして、職人によるハンドソーイングの一品となります。その為少しお値段は張りますが、十分価格に見合うだけの品物となっております。お値段は30万円となっておりますが、正直この品質でこのお値段はお安いと思います」
「そうですね。安いですよね。じゃあ黒でお願いします」
「お買い上げありがとうございます」
「海斗、ちょっといいかな」
「うん、なに?」
「あのマント30万円もするんだよ。すぐに決めて大丈夫?もっと安くてもいいマントもあるんじゃないかな。前に買ったマントは3万円だったよね」
「マントは一生ものだからね。装備品にはお金がかかるんだよ」
「海斗、多分マントは消耗品じゃないかな。今度から私も一緒に考えてから買うのでもいい?私も一緒に選びたいと思うんだけど」
「えっ?春香も一緒に選んでくれるんだ。それは嬉しいな。是非お願いします」
次から春香が一緒に選んでくれるらしい。なんて優しいんだろう。一緒に選んでくれると言うことは次から買い物を毎回付き合ってくれると言うことではないのか?
今後必要以上にダンジョンマーケットに通いそうでちょっと自分が怖い。