A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (284)
第285話 魔界の爵位
俺は今1階層でスライムスレイヤーと化している。
いろいろ試したものの、結局1番効率がいいのは殺虫剤ブレスであると結論付けて励んでいる。
「ベルリアは士爵でルシェは子爵なんだよな」
「そうです」
「それがどうかしたのか?」
「いや〜。俺の住んでる所だとそう言う階級と言うか爵位って今はもう無いから、どんな感じなのかなと思って」
「どんな感じってどう言う意味だ」
「そもそも悪魔の爵位って誰が決めるんだ?」
「マイロードお答えします。通常爵位を決めるのは魔王様です。魔王様が決めるのですが、爵位は基本世襲されますので一度叙爵すると、その家の者に引き継がれます。ただし士爵は違います。爵位を持った魔族が自分の裁量で任命する事ができます。もちろん無制限にと言うことではないですが」
「それじゃあ、ルシェの家は子爵の家でベルリアは誰かに任命されたって事か」
「私は魔公爵様に任命されて士爵となる事ができましたが元々は平悪魔でした」
「じゃあルシェは?」
「わたしもそんなもんだよ」
「そんなもんってどんなもんだよ」
「いや、だからそんなもんなんだよ」
急にルシェの態度がおかしくなった。何か隠しているのか?サーバントカードに子爵級と書かれているので爵位をごまかしていると言うことは無いと思うが一体なんだ?
「ベルリア、ルシェが何か変なんだけど」
「マイロード、恐らく姫様は姫様なのですよ」
「はい?何を言ってるかわからないんだけどどう言う意味?」
「ですから、姫様の年齢で家督を継ぐと言うのは考え難いのですよ」
「まあ、それは幼児だし、大きくなってもまだ子供だもんな」
「子供とは失礼な奴だな。れっきとしたレディだ!」
「レディ…………ふっ」
「海斗お前死にたいのか?死にたいんだな、今すぐ殺してやる『破滅の…』」
「ちょっと待て待ってくれ、冗談だ。冗談だよ。れっきとしたレディだ。成長したお前はどこからどう見ても完璧にレディだ。エクセレント!」
「そ、そうでもないけどな。わかってればいいんだわかってれば」
ルシェの奴今『破滅の獄炎』を俺に向けて行使しようとしなかったか? まさかとは思うが俺に対しては使えないんだよな。サーバントは主人には攻撃できないはずだよな。間違ってとか偶然とかないよな。検証のしようが無いので注意するほか無い。検証の結果ダメなら俺はこの世に存在していないだろうから。
「それでベルリアどう言う意味なんだ?」
「ですので、姫様は家督を継がれたのではなく姫様自身が子爵であると言うことです」
「ごめんベルリア、それって何か違うのか?俺には違いがわからないんだけど」
「全く違います。子爵の家の子供は家督を継げば子爵になれます。しかし、子供が子爵の場合、普通親は家督を譲っていれば隠居して爵位は無くなっておりますが、そうで無い場合は別の爵位を保有していることになります」
「う〜んよくわからないな」
「つまり子供が既に子爵なのであれば、その親はもっと爵位が上である可能性が高いと言うことです」
「あ〜っ、そう言う事か。ようやく言っている意味がわかったよ。それじゃあルシェは子爵より上の爵位の家柄って事か。そうなのかルシェ」
「いや、別に」
「別にってなんだよ」
「いや、別に」
「俺達家族だよな。家族に隠し事はよく無いんじゃ無いか?俺はルシェの事をもっと知っておきたいんだけど」
「そ、それは……まあ、そう」
「やっぱりそうなんだ。ベルリアよくわかったな」
「それは姫様の使われている『神滅』のスキルはかなり高位の悪魔にしか使用出来ないスキル系なのです。ですので姫様は姫様なのだろうと思っていました」
「へ〜っ。ベルリアすごいな」
「いえ凄いのは姫様です」
「そうか、ルシェの家の爵位は何なんだ?子爵より上だと公爵か侯爵になるのか?」
「…………」
「どうしたんだよルシェ、どっちなんだよ。ここまで言ったんだからいいだろ。俺にとっては魔界の公爵も侯爵も読み方一緒だし変わらないよ」
「マイロードそれはいくら何でも……」
「う〜っ。どっちでも無い」
「ベルリア、魔界の爵位って俺に知ってるの以外にもあるのか?」
「いえ、マイロードの言われているものだけです」
「ルシェどっちでも無いってどういう意味なんだ?」
やはりルシェの言っている事は意味がわからない事が多い。
まあ俺はそれも含めて可愛い妹だと思っているが。