A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (286)
第287話 久しぶりのK-12
俺は今、ダンジョンに向かっている。
週末になったのでいつものパーティメンバーとダンジョンに潜る予定にしているが、1週空いただけで随分会ってないような錯覚を覚える。
「おはよう。みんな元気だった?」
メンバーを見つけたので声をかける。
「海斗こそ遠征どうだったのよ?」
「そうです。どうだったのですか?」
「私も興味があるな。他のダンジョンはどんな感じだったんだ」
「ああ、思ったよりいろいろあって楽しかったよ」
「いろいろって何があったのよ。ちゃんと教えてよ」
みんな他のダンジョンに興味がある様なので、ダンジョンでの出来事を話していく。
「まず、ダンジョンなんだけど2層しか無いんだよ。ひたすら広いフロアが広がっていてエリア毎に階層が分かれている感じだったんだ」
「こことは全然違うんだな」
「はい、全然違っててモンスターも広さを活かす為か足の速いモンスターばっかりでした」
「高速移動のネズミとかモグラだと大変そうだな」
「いえ、ネズミもモグラも出なくて、もっと大きい奴ばかりでした」
やはりあいりさんもネズミとモグラには思うところがある様だ。
「明るいところばかりでしたし、随分勝手が違いました。それで2日目に下層に落ちてしまって、仕方なくダンジョンで野宿したんです」
「海斗!ダンジョンで野宿したの?」
「うん、そう。真司と隼人とサーバントで泊まったんだけど、結構快適だったよ」
「快適ですか?」
「床が硬かったけどエアマットでも用意しとけば1日ぐらいだったら結構いい感じだったよ」
「海斗、やっぱりちょっとダンジョン潜るの控えた方がいいんじゃない?感覚がおかしくなってる気がするんだけど」
「いや、本当に快適だったんだって。真司も隼人も同意見だったし」
「類は友を呼ぶ……」
失礼な言葉が聞こえてきたが無視だ。可能であればこのメンバーでも野宿体験してみれば良いのだろうが流石に無理っぽい。
「でもなんで下層に落ちたの?」
「あ〜それはシルとルシェが張り切ったせいで床に穴が空いたんだ」
「そう、それは仕方がないわね」
「そうですね仕方がないのです」
「うん、お二人ならそう言うことも有るな」
「…………」
やはりこの3人はシルとルシェの信者感が強すぎる。2人の行動に対して肯定的すぎる。
あの2人だって失敗もすれば、我儘な時だって有るんだ。しっかり見て欲しいものだ。
「それで20階層から24階層迄通って帰ってきたんだ」
「今24階層って言ったよね」
「うん、そう」
「大丈夫だったのですか?」
「基本逃げて逃げて逃げまくってたから大丈夫だったけど、一回だけ挟まれちゃって危なかったよ」
「どんな敵だったの?」
「亀と虎と蜥蜴と鳥だった」
「海斗、もっと語彙能力を磨いた方がいいわよ」
「とにかく四聖獣の遠い親戚みたいな奴らで、ベルリアと隼人の武器が折れたりして苦戦したんだよ」
「ベルリアは大丈夫だったの?」
「一応真司の剣を借りてなんとかなったけど、20階層以上は、俺にはまだ難しいよ」
「そんなの当たり前でしょ」
鋭くミクが突っ込んでくるがこの感じも久しぶりだ。
たった2週程度なので当たり前だが、みんなも変わってなくてこの感じが懐かしい。
「そういえば俺のマントなんだけど溶けちゃったから、グレードアップさせたんだよ」
「海斗さん、前のマントと見分けがつかないのですが」
「見た目は同じだけど繊維が違うんだよ」
「お値段を聞いてもいいですか?」
「30万円だったよ」
「そうですか……」
「まあ、価値は人それぞれだからな」
「また買ったんだ…」
この日俺達は久しぶりにK-12のパーティでダンジョンに臨んだ。
10階層迄行ってからシル達を召喚して目的の12階層を目指したが、相談の結果全員一致でこの土日の探索で13階層に抜けてしまう事を目標にする事が決まった。
やはりみんなも、もぐらやネズミの相手は、早く卒業したいようだ。