A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (314)
第314話 アサシンの力?
俺は今13階層でジョブの検証をしている。
俺のステータスに発現したジョブと『アサシン』の意味は理解出来たが、効果についてはやってみないと分からないので、探索のついでに検証してみることにした。
検証してみると言っても、スキルと違って呪文がある訳でも無さそうなので戦ってみるしかない。
「そろそろ、敵に遭遇しても良さそうだけどな〜」
「そんな都合良くはいかないわよ。私達も『アサシン』のジョブに興味があるからみんなでよく見させてもらうわね」
「あんまり見られると緊張しちゃうよ」
「『アサシン』って緊張とは無縁な気がするんだけど」
「いや、あくまでもステータスが『アサシン』なだけで本物じゃないからね」
まあ俺も含めて聞いたことが無いステータスの表示と良く知られている『アサシン』に興味を持つなと言う方が無理がある。しかも知識としての『アサシン』は大体強い事が多いので尚更期待されるのも分かるが、もちろん本物では無い俺はみんなに見られると緊張してしまう。
「ご主人様、いよいよですよ。前方にモンスターが3体います。頑張って下さいね」
「まあ、頑張りようが無いけど頑張ってみるよ」
やはり待っていても全く近づいて来る気配がないので全員で向かって行くと、通常?のトレントが3体いた。
「それじゃあ、俺が1番左側の奴をやって見るからミクがフォローをしてくれ。ベルリアとあいりさんは残り2体を足止めお願いします」
指示を出してからすぐに戦闘態勢に入る。
トレントに向かって駆け出すが、直ぐに木の杭が飛んできたので避けると同時にバルザードの斬撃を飛ばす。
問題無く、いつも通りの動作でトレントとの距離を詰めて行くが、特に実感としての変化は無いような気がする。
別に威力が増したり、足が速くなったりはしていないと思う。
後方からミクがスピットファイアを連射して目の前を遮る蔦を焼き払ってくれたので、そのまま突き切ってトレントの幹をバルザードで斬り落とした。
上手く倒せたがやはりいつもと同じような気がする。それほどこのジョブの効果が無いと言う事だろうか?
そのまま俺はナイトブリンガーの効果を発動させて、残りのトレントの背後に迫ろうとするが、何となく身体が軽い気がする。軽いと言うか、自分が速く走れている気がする。正確には自分が速く走れているのか分からないが周囲のモンスターやメンバーの動きが若干だがゆっくりに感じる。
少しだけいつもと違う感じなので劇的に変わったと言う事は無いが、何か違う。
違和感を感じながらも、トレントの背後に至りそのまま飛び込んでバルザードを突き刺すが、やはりここでも飛び込んだ感じがいつもより素早く動けている気がする。
バルザードによる一撃は問題無くトレントを倒したが、これ自体はいつもと同じような気がする。
再び最後の1体を目指して走るが、やはり違和感を感じる。そして、先程は気づかなかったが、何時もに比べて走っている時の足音が減っている気がする。
全くの無音では無いが、いつもは全力で駆けるとそれなりの足音がしていたが、今はそれ程感じない。
これは明らかに『闇と共に無音で敵を葬り去る者』の効果が出ている気がする。
実際には無音では無いし、足音にまで反応を見せるモンスターがどれ程いるか分からないので効果とては微妙かもしれないが、確かに変化がある。
そのまま最後の1体の背後に立ち、あいりさんに意識が向いているトレントの幹を背部から斬り落としたが、その瞬間も違和感があった。
先程のトレントよりもバルザードの刃がスムーズに通った気がする。
ただ2体目の時には、この感覚は無かったのでもしかしたら個体差による物で『アサシン』によるものでは無いかもしれない。
いずれにしてももう少し検証が必要だと思う。