A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (317)
第317話 失敗
「う、うう〜ん」
だんだん意識が覚醒してきた。
俺は………
あの大きな人参をみんなで引き抜いてから………
あの人参が叫び声を上げた瞬間に意識が無くなったのか?
と言う事はまだ敵がいるのか?
ぼ〜っとする頭で現状を整理していきながら、やばい状況に気がついて一気に目が覚めた。
目を開けると、目の前にはシルとルシェが立っていた。
「シル、ルシェどうなった?敵はどうなったんだ?」
「ご主人様、安心して下さい。私とルシェで敵モンスターは倒しておきました」
「敵モンスターってあの人参か」
「あれはマンドラゴラだったようです」
「マンドラゴラか、聞いた事あるな。抜いたら叫び声をあげるんだっけ」
「そうです。実際には命を奪う程の力は無かったようですが、私とルシェ以外の皆さんは気を失われてしまったようです」
そうか、シルとルシェ以外は俺と同じくマンドラゴラの叫び声で気を失ってしまったらしい。
ちょっと待て、シルとルシェ以外って事はベルリアはどうなった?
冷静になってから周囲を見渡すと地面にメンバー達が倒れており、そこにはベルリアも含まれていた。
「シル、ベルリアって何で倒れてるんだ?」
「それは、マンドラゴラの叫び声にやられてしまったからですよ」
「それは分かってるんだけど、シルとルシェは大丈夫だったんだよな。ならどうしてベルリアはダメだったんだ?」
「そんなの決まってるだろ。ベルリアが弱いからだよ。私達と一緒にするな」
「そういうものか」
「当たり前だろ!」
俺のパーティにはベルリアがいるから精神系の攻撃をくらっても大丈夫だと思っていた。
ベルリアが『ダークキュア』でリカバリーしてくれれば立て直せる。ベルリアには精神系の攻撃は通じないとばかり思っていたが、実際には効いてしまった。
今回も、シルとルシェが健在だったから問題とならなかったが危なかった。
ビッグトレントを先に倒しておいたので意識を失った後に攻撃されずに済んだが、かなりやばかった。
それにしても、俺が人の事を言える立場には無いがベルリア…………
「マンドラゴラって叫ぶだけの能力だったのか?」
「いえ、叫んだ後に私達が倒れないのを見てから、歩いて逃げ出そうとしたので仕留めました」
「マンドラゴラって歩けるのか」
「はい、2股に分かれた所を足代わりに結構速かったです」
「そうなんだ。俺のマンドラゴラのイメージってかなり小さいと思ってたからまさか、あれがそうだとは思いもしなかったな」
「それは仕方がない無いですよ。あれは人参と呼ぶには大きすぎます」
「そもそもマンドラゴラって人参なのか?」
それはともかく他のメンバーを起こさなければならない。
やはりベルリアからだな。
「おい、ベルリア起きろ!おいっ!」
ベルリアの前に立って大きな声で呼びかけてみが全く反応が無い。
まさか死んで無いよな。死んだら消えるはずなので寝ているだけか。
俺はベルリアの肩を揺すって再度呼びかける。
「ベルリア起きろ!」
余程深い眠りについているのか全く反応が無い。
仕方が無いのでベルリアのほっぺたを結構強めにバチバチ叩いてみると、ようやく目を覚ました。
「う、う〜んマイロード、敵は?敵はどこですか?」
「うん大分前に退治ずみだ」
「何と言う事だ、不覚にも敵を逃すとは!」
「いや逃してない。シルとルシェが倒してくれたんだ。お前は気を失ってたんだよ」
「なっ!そんなバカな!」
「いや本当だから。マンドラゴラの叫び声を聞いて気を失ってたんだよ」
「そんなバカな………」
「ベルリアって案外精神系の攻撃に弱いのか?」
「いえ、たまたまです。次は必ず耐えて見せます」
「ああ、そう。それじゃあ他のみんなを起こしてくれるか?」
その後1人ずつに『ダークキュア』を使用してスムーズに目を覚ましたが、全員状況が解っていなかったのでマンドラゴラの事を説明した。
全員がイメージしていたマンドラゴラの大きさとかけ離れていたので驚きの表情を見せていた。
今後はダンジョンの物にはあまり触らないように気をつけたい。