A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (319)
第319話 レア
今日は水曜日だが俺はギルドに来ている。
日曜日は全員が疲れてしまい来る事が出来ずにいたが、ドロップアイテムの事を思い出したのでメンバーに連絡を取って今日来る事になった。
あいりさんは用があるとの事だったので3人で来ている。
いつものように日番谷さんの窓口に行って対応してもらう。
「今日は買い取りでしょうか?」
「そうです。買取希望と相談というか聞きたい事がありまして」
「そうですか。では買取からさせて頂きますね」
「まずはこれなんですけど」
俺はドロップした巨大な梅干の種のような物をリュックから取り出して机の上に置いた。
「これは、ダンジョン産の植物の種ですよね。かなり珍しい物なので良い値段で買取できると思います」
「この種って何に使うんですか?」
「基本研究用ですね。発芽させた植物は地上の物とは異なるので色々と研究材料となるようですよ」
「そうなんですね」
「ダンジョン産の植物は生命力が強い場合も多く、薬や医療分野での転用が研究されたりする事もあるようです。私には難しすぎてよく分からない分野ですけどね」
「まあ、役に立つなら良かったです。後は魔核ですね」
俺は10階層から13階層で確保した魔核20個ほどを取り出して渡した。
「それでは暫くお待ちくださいね」
日番谷さんが種を鑑定に持って行っている間俺達3人は待つ事しかできないが、ミクとヒカリンと3人でいると相変わらず視線を感じる。
今日は装備を身につけていないので装備で『黒い彗星』だとはバレないはずだが視線を感じる。
まあ今日の視線は俺ではなくてミクとヒカリンに向けられたものの様な気もするので、俺が自意識過剰なのかもしれない。
しばらく待っていると日番谷さんが帰ってきて
「それでは総額で91万円となります」
「結構行きましたね」
「そうですね。やはり種が高額となっておりまして半分以上は種の値段になります」
「それじゃあそれをメンバー4等分でお願いします」
「かしこまりました。それで相談というのは?」
「それなんですけど、日番谷さんジョブって知ってますか?」
「ジョブですか?探索者のジョブですよね。知らない事は無いですがもしかして」
「そうです。俺のステータスにジョブが現れたんですよ。これって一般的なんですかね」
「高木様おめでとうございます。流石ですね。ジョブですが一般的ではありません。ほとんどの探索者にジョブは現れていませんがレベルの問題でも無いようです。かなり珍しいレアステータスです」
「レアですか」
「そうですね間違いなくレアです」
まさか探索者になってからレアと言う言葉を聞くとは思っていなかった。
レアとはモブの対極に位置する言葉では無いか。俺がレア………
と言う事は俺はもうモブでは無いのでは無いだろうか?モブではなくレア………
その特別な響きが俺の身体を貫く。
俺は遂にモブからレアにランクアップしたのか?
「高木様、良ければジョブの職種を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、俺のジョブは『アサシン』です」
「『アサシン』ですか!私はそのようなジョブを聞いた事がありません。スーパーレアじゃ無いでしょうか?」
スーパーレア………レアの更にスーパー。俺は一気にスーパーレアまでランクアップしてしまったのか。
「ステータスに『アサシン』の注釈があるかと思うのですがお聞きしてもよろしいですか?」
「それは『闇と共に無音で敵を葬り去る者』です」
「『闇と共に無音で敵を葬り去る者』ですか」
やはりこの文言を他人に伝えるのは抵抗感がある。
「さすがは『アサシン』です。期待を裏切らない内容ですね。まさに暗殺者ですね……」
日番谷さんから、まさに暗殺者という言葉が聞こえてきたが俺は断じて暗殺者では無いぞ。普通の高校生だ。