A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (320)
第320話 レジストリング
俺は今ギルドで日番谷さんと話している。
「ジョブってやっぱりあった方がいいんですよね」
「もちろんですよ。流石は今売り出し中の『黒い彗星』です。期待を裏切りませんね」
「いや日番谷さん、売り出して無いです。それに『アサシン』ですよ」
「『黒い彗星はアサシン』ってアニメの題名になりそうじゃ無いですか。黒い彗星とアサシンっていい感じですよ」
「いい感じですか?」
「黒とアサシンで悪役っぽいじゃ無いですか」
「俺別に悪役を目指しているんじゃ無いんですよ」
「いずれにしても『アサシン』はレアだと思いますので良ければ随時報告を下さい。大体ジョブが発現した探検者は上位探検者になる場合が多いので楽しみですね」
「分かりました。頑張ります」
とりあえずレアらしいのでこれから一層頑張りたいと思う。
「海斗よかったわね。ジョブってレアなのね。しかも『アサシン』はスーパーレアだって」
「やっぱり『黒い彗星はアサシン』ですよ」
「でもまだ実感としてはそれほど恩恵を感じないからこれから役に立てばいいとは思うけど」
「それにしてもやっぱり見られてるわね」
「ミクとヒカリンが見られてるんだろ」
「わかってないわね。『黒い彗星』に決まってるじゃ無い」
「いや、今は黒い装備つけてないし違うと思うけど」
「黒じゃなくても『アサシン』ですからね。注目度もアップですよ」
まだ誰にも『アサシン』とは言っていないから俺であるはずは無いのに、今日は2人共随分と控えめで自己評価が低い気がする。
「それじゃあこの後どうしようかな。俺はダンジョンマーケットに行ってみようと思うんだけど」
「じゃあ私も行くわ」
「一緒に行くのです」
念の為に低級ポーションをもう1本買っておきたかったのでダンジョンマーケットに向かった。
よく考えると3人でマーケットに行くのは初めてな気がする。
しばらくして到着したので早速低級ポーションを10万円で購入する。
「海斗さん低級ポーションいっぱい持って無かったですか?」
「この前の件があって俺だけ持ってるのも危ないと思ってシルとルシェに1本ずつ持たせたんだ。だから俺の分を1本追加したんだよ」
「あ〜前回はみんなやられちゃいましたもんね。精神系の攻撃をレジストするマジックアイテムとか無いんですかね」
「多分あるとは思うけど全ての攻撃に対応しているようなのは無いんじゃ無いかな。あとは値段が高いと思う」
「一応聞くだけ聞いてみましょうよ」
「わかったよ」
店員さんを捕まえて聞いてみる。
「精神系の攻撃を防ぐ様なアイテムって有りますか?」
「ありますよ。ただほとんどのアイテムは1回限りの使い捨てになります。それと防ぐスキル毎にアイテムが違います」
「見せてもらって良いですか?」
店員さんが連れていってくれたのは指輪が並んだコーナーだった。
指輪を見るとそれぞれレジスト出来るスキルの種類が値札の横に書かれている。
値段を見ると魅了が20万円気絶が50万円とある。
「これって身に付けるだけで効果があるんですか?」
「そうですよ。ただし相手がスキル発動したらオートで即反応しますので、実際には防ぐ必要がない場合でも消費されてしまいます」
「それは痛いですね。かかりそうな時だけ発動したりしないんですね」
マジックアイテムも一方的に俺らに都合の良いようには作られてはいないようだ。
ただこの前の事を考えると………
「すいません。この気絶耐性の指輪を1個ください」
「えっ、海斗これ買うの?50万円よ」
「一回でダメになるかもしれないんですよ。しかも無駄になるかもしれないんですよ」
「いいんだよ。この前みたいな事が防げるなら安いものだ。いや安くは無いな。高いけどみんなの命の代わりになってくれるかもしれないだろ」
「お客様、こう言うのもありますが」
そう言って店員さんが見せてくれたのは即死耐性の指輪だったが値段は1000万円だった。
死んでからでは買うことは出来ないが流石に使い捨てで1000万円は払えない。
出来ればこれはいつの日かドロップして欲しい。