A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (321)
第321話 魔剣の砥石
俺は今ダンジョンマーケットで買い物をしている。
気絶をレジストするリングを50万円で購入したので当然指輪を指にはめないといけないのだが、俺は生まれてから1度も指輪なんかした事がない。
むしろつける事に抵抗があるが仕方がない。
指にはめてみようとするが指輪の大きさの問題で薬指にしかうまくフィットしなかった。
「いいんじゃ無い?高額だったけどデザインはいいと思うわ」
「彼女さんとお揃いのリングにするといいのでは無いですか?」
「いや、彼女じゃないし、50万円の地上では意味を成さない指輪貰っても嬉しく無いだろ」
「海斗さんお揃いって事に意味があるのですよ、分かって無いですね」
「指輪は、ハードルが高すぎる。しかもお揃いって無理……」
「『アサシン』のような心で臨めばなんて事無いのでは?」
「俺、地上では普通の高校生だから」
指輪を普段からつけるわけにはいかないので、週末のダンジョン限定で使用するつもりだが無くさないようにしっかり保管するようにしたい。
流石に50万円の指輪を落としたりしたら凹む。
「2人は何か買うものはないの?」
「特には無いわ」
「私もついて来ただけなのです」
「俺も特に必要なものは無いんだけど折角だから武器を見ていっていいかな」
そう言っていつものおっさんの店まで向かった。
「こんにちは。武器を見せてもらっていいですか?」
「おお、坊主じゃね〜か。何だ?今日はいつもの別嬪なお姉ちゃんと一緒じゃね〜のか?しかも2人?」
「ああ彼女達はパーティメンバーなんですよ」
「坊主、実はモテたりするのか?普段はいつものお姉ちゃんと一緒でパーティはその女の子2人と一緒ってハーレム状態じゃね〜か!」
「いや違います。そんな事有る訳がないじゃないですか。いつもの子は買い物友達で彼女達はパーティメンバーです」
「坊主、マジか‥‥お前モテなさそうだもんな。いろいろよ〜く考えてみた方がいいぞ!」
相変わらず失礼なおっさんだ。大きなお世話としか言いようがない。
「それより武器をお願いします」
「ああ、いいのが入ってるぜ。高いけどな」
そう言っておっさんが奥から取り出して来たのは剣が一振りと銃?だった。
「これって何ですか?銃にしては大きすぎじゃ無いですか?」
「これはスゲ〜ぞ!小型の魔核ランチャーだ」
「ランチャーってミサイル見たいなの撃ち出す奴ですか?」
「そうだ。細かい照準が難しいし連射出来ないのが欠点だが威力は魔核銃の比じゃないぞ」
小型とは言え両手を使わないと無理っぽいので、メインウェポンとして使うのだと思うが、流石に使い勝手が悪過ぎる気がする。大型モンスター限定用じゃ無いだろうか。
「すいません。流石にこれはちょっと無理です」
「そうか?火力不足が一気に解消の凄い奴だぞ」
「ところでそっちの剣は何ですか?普通の剣に見えますけど」
「おおこっちの剣は魔剣だ!火属性の魔法が封入されているから普段はこんな風だが、燃えやすい敵を斬ると斬り口が燃え上がるぞ。それとこれは魔剣用の砥石もセットしてサービス価格1900万円だ。どうだ?」
「どうだと言われても無理に決まってるじゃ無いですか。家が買えますよ。あと魔剣用の砥石って何ですか?」
「魔剣も普通の剣と同じで手入れが必要だからな。手入れしないと斬れ味が落ちるし最悪折れたり欠けたりするんだ。魔剣用の砥石は魔核をパウダー状にしたものを練り込んだ砥石の事だぞ」
「えっ!?魔剣って手入れが必要なんですか?それに折れたりする事あるんですか?」
「当たり前だ。魔剣だって剣なんだから使えば痛むに決まってんだろ。手入れが必要に決まってるだろうが」
「そうなんですか」
知らなかった。魔剣は普通の剣と違って折れないものだと思い込んでいた。
バルザードも手に入れてから一度も本格的に手入れをした事が無い。
危なかった。バルザードが折れたら俺はどうしようも無くなるところだった。
「海斗ってバルザードの手入れってしてた?」
「いや、した事が無かった。すいません、この魔剣用の砥石だけって売ってるんですか?」
「ああ、売ってるぞ。坊主もしかして魔剣持ちなのか?」
「一応そうです。小さいやつですけど」
「うちからは買っていってないだろ。ドロップか!」
「まあ、そうです」
「てっきりうちで買って行った剣を使ってるとばかり思ってたぜ」
「まあ、いろいろありまして。砥石いくらですか?」
「砥石も特殊だからな5万円だ」
「それじゃあ、その砥石買います。お願いします」
期せずして魔剣用の砥石を手に入れたので、これからは毎日バルザードの手入れを欠かさないようにしたい。