A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (323)
第323話 マンドラゴラ再び
俺は今13階層を進んでいる。
まだ早い気もするが、可能で有ればこの週末で踏破してしまうべくペースアップを図る。
この階層のモンスターは基本待ち受け型なので、極端な話戦わずに走って脇を逃げ去る事は可能だが、それをしてしまうと本来の実力より先に進んでしまう事になり14階層で苦戦する事が分かっているので、出現したモンスターは全て倒して進んでいる。
「ご主人様、前方にモンスターです。2体いますので1体は私が担当してもいいでしょうか?」
「ああ、それじゃあそうしようか」
シルも最近後方待機の事が多いのでこの辺りで活躍してもらうのもいい事だと思う。
しばらく進んでみるがトレントらしき敵は見当たらず、代わりに草に混じって2箇所に見覚えのある大根の葉っぱの様な植物が生えている。
「あれって……」
「間違いない。あれはこの前の」
「マンドラゴラですね」
「そうだよな。あれってどうしたらいいんだ?多分待ってても動き出したりしないよな」
「ご主人様、恐らく引き抜かれるのを待っているのだと思います」
「これってここから攻撃しちゃって良いんだよな」
「当たり前だろ。そもそもマンドラゴラなんか抜かなきゃただの葉っぱなんだよ」
前回は抜いてしまい大変な目にあってしまったが、分かっていれば抜く事はありえない。
抜かなければただの埋まった植物なので遠距離から攻撃すれば問題ないとは思うが、あまりに安易な気がして少し不安になってしまう。
「それじゃあ、シルからお願いするよ。あっち側のを頼んだ」
「それじゃあ、いってみますね『神の雷撃〜』」
あまり緊迫した場面では無いので、いつもより緩い感じでシルが『神の雷撃』を発動すると、いつもと同じように雷が葉っぱに向かって放たれた。
「ズガガガガ〜ン」
轟音と閃光と共に雷が落ちた場所には大きな穴が空いてマンドラゴラは完全に消失していた。
「ご主人様、もう一体も倒してしまっても良いでしょうか?」
「それはもちろんいいけど、グラストレントみたいに逃げたりもしないんだな。抜かれない限り一方的に攻撃されるだけなんだな。敵ながらちょっと可哀想な気がする」
「なに『アサシン』が甘い事言ってるんだよ。『アサシン』なら敵即斬だろ」
シルもあまりにも簡単に倒せてしまったので消化不良なのだろうからもう一体を倒すのは別に良いと思うが、それで満足感が得られるとも思えない。
それにしても、全く身動きが取れないマンドラゴラを一方的に蹂躙する事には少しだけ抵抗感を覚える。ルシェ
の言う通り冷酷になり切れていないのだろう。ただ敵即斬とは何か格好良いな。
「それじゃあもう1度行きますね『神の雷撃〜』」
再び雷が地面に突き出している葉っぱに向かって放たれてマンドラゴラは跡形もなく消えてしまい後には魔核が2つ残されていた。
「せっかく担当させてもらったのですが、出来れば次もお願いします。残念ながらあまりお役に立った気がしません」
「シルばっかりずるいぞ。わたしも次は一緒にやるからな」
「こう言ってるけどみんないいかな」
シルとルシェの希望はあっさりと受け入れられたので次はシルとルシェが一緒に戦う事になった。
しばらく進むと敵2体に遭遇したが、この一帯はマンドラゴラの群生地なのかまたもマンドラゴラらしき葉っぱが地上に向けて伸びている。
「あ〜。それじゃあ2人共やってくれ」
「はい。残念ですが仕方ありません。やってみますね『神の雷撃〜』」
「こんなの倒しても全然面白く無いな『破滅の獄炎〜』
2人ともブツブツ文句を言いながら全く緊張感無くスキルを発動したが、威力は十分で跡形もなくマンドラゴラは消滅してしまった。
「これだけじゃ足りないぞ。次もわたしがやるからな」
「私もお願いして良いでしょうか」
あまりにも簡単に倒す事が出来てしまい次も2人が担当する事になったが、誰からも異論は出なかった。