A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (327)
第327話 思い込み
俺は13階層を進んでいる。
途中で遭遇したヒュドラっぽい植物モンスターも順調に退け進んでいる。
全体をマッピング出来ている訳では無いので何となくだが階層の半分ぐらいは越えて来ている感じがする。
「ご主人様、敵4体です。奥に散らばっているようです」
「それじゃあ、体勢を整えて行こうか。ヒュドラ型にしてはちょっと数が多い気がするけど他のも混じってるのかもしれないな。1体は先にシルとルシェで倒してくれ。その後順番にフォローを頼む」
いつものように敵の待っている場所まで向かっていると突然ナイトブリンガー越しに衝撃が走り、後方に吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ、何が?」
俺が飛ばされた瞬間すぐにシルが俺の前に立ち、ベルリアが剣を抜いて臨戦態勢に入った。
敵か?モンスターの攻撃以外に考えられないがどうしてだ?まだヒュドラ型等の敵影は見えていない。
今までの事を考えても、植物タイプのモンスターが目視出来ない位置から攻撃して来た事は一度も無かった。
敵が待たずに攻めて来たと言うことか?
「ご主人様、大丈夫ですか?ポーションをお飲みになりますか?」
「いや、大丈夫だ。そこまでじゃ無い。それより敵はどこだ?ヒュドラ型が向かって来たのか?」
「申し訳ございません。目視出来ませんでしたが今までのモンスターとは別のモンスターなのは間違いありません」
「そうか、シル『鉄壁の乙女』を頼む。みんな急いで『鉄壁の乙女』の効果範囲の中へ!」
ひとまず体勢を整える為にシルに『鉄壁の乙女』を発動してもらう。
「海斗大丈夫?」
「完全にノーマークのところに攻撃をくらったから、攻撃された瞬間が分からなかったけどマントとナイトブリンガーのおかげで大きな怪我は無さそうだよ」
攻撃された瞬間も分からなかったが、何の攻撃を受けたのかも良く分からない。
「ブゥン!」
光のサークルに向かって何かが衝突した様な音がするが、特に何も見当たらない。
風か?どうやら目視出来る物質による攻撃では無いようなので風かもしれない。
風か見えない何かによる攻撃だと思う。
「どうだベルリア敵はいたか?」
「姿はまだ見えませんが上空を何かが移動しているような気配を感じます」
上からの攻撃か。メンバーが一斉に頭上に視線を移す。
「あっ!いました。今見えましたよ。鳥です。かなり遠目ですがワシか鷹っぽいです」
「4体いた?」
「いえ見えたのは1体だけですが、他にも違うところにいるかもしれません」
どうやらこの階層には植物以外のモンスターもいたらしい。
当初からずっと植物系のモンスターしか出て来なかったので完全にこの階層はそうなのだと思いこんでしまっていた。
ヒカリンが示した場所をよく見ていると確かに猛禽類を思わせる風貌の鳥が横切った。
「ブウゥン!」
再び光のサークルに攻撃が加えられたようだが、かなり遠方から攻撃をかけて来ているようだ。
同じモンスターが4体いるのかは分からないがとにかく見える敵から倒す。
今の位置では俺の射程よりも遠いのでもう少し近づかなければならないが移動を繰り返す敵にシルを抱えて追いかけるのは難しいので光のサークルから飛び出す。
「私も一緒に行こう」
「はい、お願いします」
あいりさんが俺に続き並走するが敵の見えない攻撃は注意が必要なので2人で左右に蛇行しながら敵を目指す。
背後からはミクが援護してくれている。
敵モンスターを射程に捕らえた瞬間バルザードを放ったが、しっかりと外れてしまったので今度は走りながら理力の手袋の力で敵の翼を掴んでやった。
そのままバルザードを発動しようと思った瞬間
「私にまかせろ!『アイアンボール』」
並走していたあいりさんが『アイアンボール』を発動してバランスを崩して動きが止まった敵モンスターを高速で飛んだ鉄球が的確に捉えて消滅させる事に成功した。
後の3体はどこだ?