A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (33)
第33話 休息日
先日、『Gちゃん』の一撃をもろに食らってしまった俺は、寝込んでしまった。
痛くて動けない。おまけに熱も出てしまった。
重症だ。
今日で、もう3日も寝込んでいるうえ学校も休んでしまった。
このぐらいのダメージは低級ポーションがあれば、一瞬で回復するのだろうが、俺は持っていない。
何しろ1本10万円もする高級品なのだ。
仕方がないので自然治癒力に任せる他なく、ベッドに張り付いている。
そろそろ明日には動けるようになりそうだ。
明日は土曜日なので学校も休みだ。
寝るのにも飽きてきたので、明日は買い物でも行こうかなと考えている。
特に買うものも無いので、いつものようにダンジョンマーケットにウィンドウショッピングに行こうかと思う。
次の日、なんとか動ける程度には回復したので、予定通りダンジョンマーケットに向かうことにする。
家を出てしばらく歩いていると向こうの方から気配がした。
これは・・・
葛城さんの気配ではないか。
悪いことをしたわけでもないのに慌てて道陰に隠れてしまった。
しばらくすると葛城さんが女友達と2人で楽しそうに会話をしている。
友達の方が
「岡島くんってかっこいいよねー!」
「えーそうかな?」
「超イケメンでしょ。」
「わたし、ちょっとチャラい感じの人は苦手だから・・・」
「じゃあどんな人がタイプなの?」
こ、これは恋バナ!?
しかも葛城さんのタイプ?
俺は何があっても聞き逃さないように全神経を耳に集中させた。
「うーん。何かに一生懸命打ち込んでる人。あと優しい人かな」
なんだと・・・・
何かに打ち込んでいる人!?
俺か?俺のことなのか?
俺はダンジョンに打ち込んでいるぞ。
優しい人?
俺は葛城さんのためなら超優しい人になれる。
やばい
葛城さんと両想いかもしれない。
そんなありもしない妄想に脳みそを支配されながら
俺は葛城さんたちの後ろ姿をこそこそ眺めながら、にやにやしていた。
「ママ、この人変質者」
「ちょっとやめなさい」
気がつくと、小さな女の子が俺をみて指差しており、母親が慌てて止めていた。
さすがに気まずい雰囲気となり、そそくさとその場をあとにした。
『変質者』って、どこがだよ と思いながら予定通りダンジョンマートにやってきた。
特に欲しいものがあるわけではないが、子供の頃からの休日の日課のようなものだ。
いつものようにショーケースの中をじっくり眺めていく。
上級ポーションをみて、これがあれば、この痛みを一瞬で消してくれるだろうなと思いながら、当然値段を見て次の商品に目を向ける。
幻想武器であるミスリル製のナイフを見て、いつか自分もダンジョンで手に入れて、使いこなしたいと妄想にふける。もちろん買う気は一切ない。
買えるわけもない。
ポーチ大のマジックバッグを見て、これさえあれば、魔核や殺虫剤をリュックに背負う事もない。もっと身軽にダンジョンに潜れる。
今一番ほしいアイテムだ。
しかし値段が高い。
5kgしか入らないのに1000万円している。
5kgって多分どれだけも入らない。殺虫剤が何本入るだろうか。
とても手が出ない。
これもダンジョンで手に入らないだろうか。
そんなふうに、妄想しながらダンジョン産アイテムを見て回るのは本当に楽しい。
たとえ、人に暗いとか、気持ち悪いとか思われていたとしても、やめられない。
しばらくウィンドウショッピングを続けていると普段は見慣れない、ショーケースが端っこにあった。
よく見ると在庫処分と書かれている。
在庫処分?
そんなの今までなかったな。
興味をひかれて、ショーケースの中を見てみた。
先が折れたナイフ。
錆びてぼろぼろの籠手。
色がちょっと濁った低級ポーション。
端々が千切れたモンスターの毛皮
等々
売られている。
それもタダではなく、そこそこの値札が付いている。
色がちょっと濁った低級ポーションはちょっと欲しいと思ってしまったが、商品説明欄に、賞味期限切れにつき、効果不確定。体調に変化があった場合でもダンジョンマートは一切責任を負いません。
と書かれている。
これ売っていいやつか?
と思ったがスルーする事にした。
何かないかと物色していたら、端の方に青い小さなガラス玉のようなものが装飾された、ブレスレットのようなものがあり、この中ではまともなアイテムに見えたので、俺はじっくり見てみることにした。