A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (332)
第330 銃士
俺はマジックシザーにより事なきを得た。
落とし穴から抜け出すと、既にあいりさんが上空の敵は倒していた。
「海斗大丈夫か?」
「まあ、なんとか。脚に根が絡みついてヤバかったですけどね」
「横にいたと思ったら急に姿が消えて焦ったよ」
「俺も焦りましたよ。踏み出したら地面が無くなってたんです」
とにかく無事に終わって良かった。
「ご主人様まだです。もう1体います!」
完全に終わった気になっていたが、よく考えるともう1体いた。
見当たらないので注意して待ち構えていると今度はあいりさんの足下の地面が抉れて穴が空いたが、あいりさんは華麗にジャンプして避けた。
以前も同じような事があったが、武術をある程度極めると気配のようなものが読めるようになるのだろう。
相変わらず俺には全く感じ取れなかった。
空いた穴の底に根が見えたので、底まで降りてからバルザードを突き刺して敵モンスターを爆散させた。
急にイレギュラーな敵が出てくると対応が後手に回ってしまう。
「ご主人様大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。ここから先は今までと違うモンスターも現れる可能性が高いから注意して進もう」
今回の戦闘だけでも結構疲れてしまったので、次は他のメンバに任せてちょっと休憩しようと思う。
「ご主人様、急に姿が見えなくなりましたが下では何があったのですか?」
「敵モンスターの攻撃だったみたいで、穴の底で木の根に巻き付かれて身動きが取れなくなってたんだ。これのおかげで助かったんだ」
「ハサミですか?」
「そう、マジックシザーで木の根を切って抜け出せたんだ」
「それ、役に立つ事もあるのね」
「私も驚きなのです」
マジックシザーへのみんなの評価が向上したようで、自分の事でも無いのに何となく嬉しい。
更に進んでいくと3体のモンスターが出現したが、2体については先程の猛禽類を思わせる鳥型なので、俺の魔核銃をベルリアに持たせてあいりさんとベルリアに前に出てもらった。
今回俺は中間距離から支援する。
俺の時と同じく蛇行しながら2人が走って行く。
途中でベルリアがジャンプするのが見えたので、おそらく落とし穴を避けたのだと思う。
べルリアは剣を魔核銃に持ち替えて鳥型を狙い撃つ。
「プシュ」 「プシュ」
魔核銃のバレットの射出音の直後、鳥型の両翼に穴が空きバランスを崩してスピードが落ちた。
それを見逃さずにあいりさんが
「アイアンボール」
鉄球が飛んで行き、体のど真ん中に命中して消失させた。
直後もう1体がこちらに向かって来たのでバルザードの斬撃を飛ばすが、気配を察知したのか旋回して回避し、再びベルリア達を強襲しようとした瞬間、ベルリアが魔核銃で翼を撃ち抜き、先程同様あいりさんがアイアンボールで仕留めた。
真司の射撃練習の時にも感じたが、ベルリアは射撃が抜群にうまい。
ほとんど練習もしていないのに、飛んでいる敵に全弾命中させてしまった。
もしかしたら剣よりも適性があるのでは無いだろうか?
魔核銃では相手によっては威力が不十分の場合もあると思うが、今後魔核銃はベルリアに渡しておこうと思う。
飛んだり、距離のある敵には一切攻撃手段を持っていなかったが、俺が持つよりも戦力になってくれるだろう。
「ベルリア流石だな」
「マイロードそれほどでもありません」
「それは、今後お前が使ってくれ」
「それとはこの魔核銃の事でしょうか?」
「そうだよ。俺が使うより戦力アップになりそうだからな。俺にはバルザードとマジックシザーがあるから」
「有難き幸せ。剣に続いて銃までも賜われるとは。このベルリア命をかけてお役に立ってみせます」
「まあ死んでもらったら困るけど頑張ってな」
「はい、マイロードの剣として死ぬ気で頑張ります」
ベルリアが俺の言っている事を理解しているのか疑問だが、さっきの攻撃でバルザードの使用上限を迎えたようなので、リュックからスライムの魔核を取り出して補充する事にした。