A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (338)
第336話 14階層と悪魔
俺は今14階層に到達した。
階段を下って行くと、足元もしっかりしているし特別おかしいところもない。
階層自体も明るいので12階層よりは進みやすいと思う。
「それじゃあ、先に進むけどどんな敵が来ても大丈夫なように注意しながら行こうか」
階層が進むにつれ初見のモンスターはスキルも含めて特に注意が必要になって来た。
「ご主人様、モンスター3体がこちらに向かっています」
やはり13階層とは違うらしい。
「俺とベルリアとあいりさんが前へ、残りのメンバーは敵を見てから各自でフォローを頼んだ」
3人で横1列に並んで敵を待ち構えるがすぐにモンスターが現れた。
現れたのはゴブリンだが普通のゴブリンよりも明らかに大きい。
「こいつらは、ホブゴブリンか?」
平面ダンジョンに現れたゴブリン達は所謂亜種だと思うが、このホブゴブリンは上位種だ。ゴブリンと言えどもどの程度の力を持っているか分からない。
「ギャギャギャギャギャ!」
甲高い声でこちらを威嚇してくる。俺達も武器を構えて応戦の構えを見せる。
ゴブリンと比べても重量感のある走りで向かってくる。
手にはそれぞれ武器を持っており、振りかぶって切りつけてきたので、半身になって避ける。
「よけるとは生意気な」
「はっ?」
いきなりホブゴブリンが喋った。さっきのモンスター然とした叫び声は何だったんだ?完全に喋れると思わなかったので面食らってしまったが、止まるわけにはいかないのでそのまま反撃する。
「お前喋れたのか、驚かすんじゃない」
「人間のくせに生意気な」
バルザードで斬りつけたが防がれてしまったのでそのまま押し込もうとするが、押し切れない。
「くぅうう」
思いっきり全身の体重をかけるが、力が拮抗して動かない。
力だけなら俺以上なのだろうがスピードは俺に分がありそうだ。
尚も押し込みながらバルザードに破壊のイメージをのせると、ホブゴブリンの剣がバルザードとの接地面から折れた。
流石はバルザードだ。
俺はそのままの勢いでホブゴブリンを斬り裂いた。
戦いは一瞬で終わったが、このホブゴブリンかなり強い。
バルザードと言う特殊な武器を持っていなければ、結構苦戦したかもしれない。
残りの2人はまだ戦闘中だったが、それぞれを後方から残りのメンバーが援護射撃しているので優勢に戦っており、ベルリアもあっさりと勝負を決めた。
残るはあいりさんだが、相手の武器と間合いが合わずに少し手こずってはいたが、スナッチがヘッジホッグを仕掛けてダメージを与えた所を一気に仕留めた。
「14階層の最初の敵にしては強いな。これは気を引き締めてかかった方が良さそうだ」
「そうだな一対一なら結構苦戦したかもしれない」
「俺達はパーティなんでみんなで連携して戦いましょう」
「ああ、そうだな」
少し手こずったものの初戦を無傷で切り抜けたので上々の滑り出しと言えるだろう。
魔核を回収してから、気を引き締め直して歩いていると突然周囲の温度が下がり、薄暗くなった。
「なんだ?どうしたんだ?」
「ご主人様、敵だと思われます。3体ですが恐らく通常の敵ではありません」
「通常の敵ではないってどう言うことだ?」
「ベルリアの時と感じが似ています。恐らく悪魔だと思われます。悪魔のテリトリーにはまってしまったかもしれません」
悪魔!?
俺が今まで敵として出会った悪魔はベルリアただ1人。
確かに他の悪魔も潜んでいるかもしれないとは聞いていたが14階層でいきなりか!
しかも3体?
「シル、3体とも悪魔なのか?」
「恐らく間違いないと思います」
「引き返せば13階層に逃れると思うか?」
「既に捕捉されていると思われますので、難しいと思います」
「そうか………」
逃られないなら戦うしかないが、敵であった時のベルリア以上の悪魔が3体出てきたら間違いなく負ける。ベルリアの時は1体のみだったのでルシェの力でなんとかなったが、流石に3体は無理だ。どうする?