A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (341)
第339 必殺の一撃
正に全身全霊をかけた必殺の一撃を放ったがインプを消滅させるには至らながった。
「あいりさんっ!代わって下さい」
俺のHPは一桁台まで低下して、激しい疲労感が襲って来たので今インプに蹴られたら確実に死ぬ。
急いで後方に下がって、低級ポーションを出して一気に煽る。
ポーションの効果が身体を駆け巡り、徐々に倦怠感が取れて来た。
インプは流石に片腕を切り落とされて、おびただしい量の出血と共に目に見えて動きが悪くなっている。
あいりさんが無くなった左腕の方から徹底して『斬鉄撃』による攻撃を繰り返し、手傷を増やしているが、それでも倒すには至っていない。
身体が動くようになったのを確認してから、俺は効果の切れた魔氷剣を再び発現させてからナイトブリンガーの効果を発動させる。
流石に今の状況で有れば俺から意識が外れる可能性があると思う。
意識を集中してインプの後方に回り込む。
今度は完全に背後を取った。
踏み込んでと止めをさそうとした瞬間、インプがこちらを向いて目が合った。
まずいっ!
残った腕を横に薙ぎ俺に攻撃をかけて来たが、その動きは完全に動きが遅く見える。低い位置からの攻撃を避けるべくジャンプして躱して上段からの一撃を脳天にお見舞いしてやった。
「うおおおお〜『愚者の一撃〜!』」
これで決まってくれ
俺のHPのほとんどを費やした渾身の一撃は何故か抵抗感なくスムーズにインプを両断する事に成功した。
最初の一撃は物凄い抵抗感を感じたが、今の一撃は全く違う感覚だった。
発動条件は全く分からないが『アサシン』になってから時々こう言う事が有る。
とにかく自分達の力で悪魔を1体倒せたので良かった。
すぐに2本目の低級ポーションを取り出して飲み干してから、他のメンバー達に目をやるが、ベルリアだけで無く、なんとシル達まで交戦中だった。
あいりさんはすぐにベルリアの元に走ったが、俺は状況を確認する為にその場に留まった。
ベルリアはフロストデーモンと戦っているが、インプに比べると大型の悪魔であるフロストデーモンに押されている。
時折ヒカリンが『ファイアボルト』で援護して何とか均衡を保っている。
ベルリアもスピードと技術で相手を上回り数度に渡り斬り付けているが、氷で出来た体躯に完全に阻まれている。
シルとルシェはドリームイーターに交互に攻撃を繰り返して寄せ付けてはいないが、どうやら霧状の敵に効果が薄いようで倒せていない。
これは思った以上に相性が悪い。
「ヒカリン、ベルリアのフォローは俺がするからシル達の方に行ってくれ。どうにか『アイスサークル』でドリームイーターを閉じ込められないか?」
「やってみるのです」
メンバーを入れ替えて2体の悪魔を倒しにかかる。
俺もフロストデーモンに向かい3人で一斉に斬りかかる。
「マイロード、ご助力ありがとうございます。フロストデーモンは身体の硬さと常時氷結スキルを使っているので、同じ場所に長くとどまって斬り結ぶ事は出来ませんので御注意を」
ベルリアのアドバイスを受けている間にも足下が凍りかけて来たので慌てて移動を繰り返す。
ベルリアの双剣に加え俺とあいりさんが加わり4本の刃で一斉に襲いかかるので圧倒的に手数で優っている。
「3対1とは卑怯な。正々堂々戦えないのか」
「悪魔が何言ってるのよ3人だけじゃ無いわ。私達もいるのよ」
突然フロストデーモンが喋りかけて来た。やっぱり悪魔は普通に話せるらしい。
ミクとスナッチも後方から攻撃を仕掛ける。
「人間とはこれ程に卑怯なのか」
「いや、そもそもベルリアは悪魔だしな。悪魔が卑怯を語るなよ」
「悪魔の子供がどうして人間の味方をしているんだ。一緒にそこの人間どもを倒そうでは無いか」
「話になりませんね。マイロードに反するなどあり得ません」
「何かギアスで縛られてるのか。子供を縛るとは卑怯な人間どもが!」
なんだこの勘違い悪魔は。勝手に勘違いしてヒートアップしている。
フロストデーモンなのだから少しは冷静にしてもらいたいものだ。