A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (362)
第360話 発火
日曜日になり俺は14階層を探索している。
昨日は都合10回も戦闘する事になってしまったが、寝たら疲れは完全に抜けていたので今日も目一杯頑張っていけそうだ。
「ご主人様、モンスターですが5体います。まもなくこちらに来ます」
「よしっ、俺とベルリアとあいりさんで前に出よう」
いつもの陣形で敵を迎え撃つが、ホブゴブリン3体にホブゴブリンの上位個体なのだろうか?1本角が生えた個体が2体混じっている。
「人間ども、これで死ねや!『ブリッツ』」
いきなり角の生えた個体が声を上げて魔法で攻撃してきたと思ったら目の前が強烈な光で覆われて前が見えない。
網膜にモンスターによる魔法の光の残像が映り込んでモンスターがよく見えない。
咄嗟に俺は後退の指示を出して反転して後ろへ下がる。
「私がいきます。『ウォーターキューブ』 皆さん伏せてください『ファイアボルト』」
敵との距離感が分からないので、ヒカリンの声に従って地面に伏せた直後に爆発音と爆風が頭上を襲った。
魔法の連鎖による完全な水蒸気爆発だ。
まだ目がよく見えないので周りの状況がよく分からない。
「もう1発いきます。『ウォーターキューブ』 『ファイアボルト』」
「ドガガガァ〜ン!」
本日2度目の水蒸気爆発が起きて頭上が熱風で熱い。
流石に爆発2連発は激しい。見えなくても身体中で感じることが出来る。凄まじい威力だ。
「みなさん、終わったのです。もう大丈夫ですよ」
声が聞こえてきたので起き上がるが、目がチカチカして状況がよく分からない。
「うう〜ん、ベルリア治療を頼む」
「かしこまりました。少しお待ち下さい『ダークキュア』」
ベルリアのおかげですぐに目が見えるようになったので周りを見てみるが、どうやら前衛にいた3人が閃光により目をやられたようであいりさんはまだ目を気にしていたので、ベルリアに治療を頼んでおいた。
後衛のメンバーは離れていたおかげで閃光の影響は少なく済んだようだ。
目の前の地面には魔核が5個落ちているのでヒカリンの攻撃2発で5体とも消滅してしまったようだ。
おそらく、敵モンスターがスキルを発動してから、こちらの様子を伺っていた瞬間に魔法を叩き込んだのだろう。
「助かったよ」
「私もたまにはやるのですよ」
ヒカリンはたまにというか結構活躍してると思うんだけど………
「それじゃあ次は私の番ね。任せてもらうわよ」
「えっ?大丈夫?」
「失礼ね、しっかり見ておきなさいよ」
ヒカリンの活躍にあてられたのか次はミクがやると言い出した。ただミクは火力不足なので大丈夫だろうか?
しばらく歩くとすぐにホブゴブリン3体に遭遇した。
「海斗、しっかり見ておきなさいよ」
「あ、ああ。危なくなったら助けるから」
ミクは後衛の位置からスピットファイアを構えている。
「幻視の舞」
久々のミクのスキルにホブゴブリン1体が嵌ったようで奇妙な動きを見せ始める。
「それじゃあ消えて無くなりなさい『ファイアスターター』」
ミクがこの前身につけたばかりのスキルを発動してスピットファイアのトリガーを引くと、いつもの卓球の球程のファイアボールでは無くソフトボール程の大きさの火球が撃ち出された。
通常のファイアボールよりは少し小さいが、高速で撃ち出された火球は威力十分で次々にボブゴブリンを捉えて致命傷を与えていった。
「なんで?」
俺にはどうしてスピットファイアの火球が急に大きくなったのか分からなかった。
間も無く3体のホブゴブリンは消滅してしまった。
「時間があったから私の『ファイアスターター』の使い方を自分なりにいろいろ考えてみたのよ。私は後衛だから敵の1m以内に近づく事がないじゃ無い。だからスピットファイアの弾に炎を付与して撃ち込んだらパワーアップするんじゃ無いかと思ったのよ」
なるほど、元々火の属性の弾に炎を付与したから弾が大きくなって威力が増したのか。
連射が効く分普通にファイアボールの魔法を使うよりも効果的かも知れない。
その後も張り切った、ヒカリンとミクのお陰で探索はいつもよりもスムーズに進んだ。