A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (365)
第363話 決意新たに
俺は今1階層に潜っている。
昨日ヒカリンのパパから話を聞いてダンジョン攻略に決意を新たにしていた。
そして先に進むには先立つ魔核が必要となるので今まで以上に集中して1階層でスライムの魔核を集めている。
スライムスレイヤーとレベル21の補正があり殺虫剤ブレスの効果は更に上がっており、かなり節約しながら狩りを行う事が出来ている。
「今ので何個目だ?」
「今ので20個目です」
中々いいペースで進んでいるのでこのままいくと帰るまでに40個近く行けるはずだ。
それからの3日間で122個の魔核を集めて再び14階層に臨む事になったが、ダンジョンのスライムを含むモンスターはエンドレスで湧いてくるのが今でも不思議でしょうがない。
土曜日になり再びみんなで14階層に向かったがヒカリンは至って普通でいつも通りだった。
もしかしたらパパと俺のやりとりを知らないのかもしれない。
パパには任せておけと言ったものの実際にヒカリンを目の前にすると不安がよぎってしまう。
そこからは先週同様ヒカリンも活躍して順調に探索は進んでいった。
魔核をしっかりと補充した事もあり、ドラグナーも存分に使う事が出来たので俺としても非常に満足出来る1日だった。
ただ今日一日探索を進めながらずっと考えていた。
ヒカリンの事を他の2人に話すべきなのかどうか。このまま何も知らせずに今まで通りの方がいいんじゃないかとも思い、すぐには言い出せなかったが1日終えて決心が固まった。
地上に出て、ヒカリンに気づかれないようにすぐにミクとあいりさんにメールで連絡を入れた。
返事があってから近くの指定した待ち合わせ場所に15分程で2人が現れた。
「海斗、大事な話って何?それにヒカリンには絶対に気づかれない様にって何?」
「ああ、それなんだけどあんまり人の来ない所で話したいんだけど」
俺の表情から、ただ事では無いのを感じたのかミクが以前行ったフレンチのお店の個室を用意してくれた。
重い空気の中向かっている間は3人とも無言だった。
「それで、どうしたのよ」
店について個室の席についた瞬間にミクが声をかけて来た。
「ああ、実は4日前にヒカリンのパパから連絡があって会ったんだ」
「ヒカリンのパパ?どうしたのよ。あの子パーティを抜けたいの?」
「いやそうじゃ無いんだ。実はヒカリンは病気なんだそうだ」
「病気!?なんの?」
「それがこのままだと成人するまで持たないんだそうだ」
「嘘でしょ!?だってヒカリン元気じゃない」
「そうだ。今日もあれほど活躍してたじゃ無いか。とても病気とは思えないぞ」
2人からは、やはり俺の時同様の反応が返ってくる。
「それが、今は薬で症状を抑えられてて、ダンジョンではステータスの恩恵で地上よりも調子がいいんだそうだ」
「そんなバカな事って」
「本当なのか………」
「ヒカリン、ゲーム詳しいだろ。体が弱くて家ではゲームをやって過ごす事が多いんだそうだ」
「じゃあ何でダンジョンなんかに」
「パパにもお願いされたんだけどな、ヒカリンの目的はエリクサーかソーマ、ネクターの入手なんだよ」
「エリクサー………。それならヒカリンの病気を治せるって事?」
「自分の命は自分で何とかすると言って探索者になったそうだ。それで、ヒカリンのパパがどうしても薬を手に入れて欲しいって頼んできたんだ」
「でもエリクサーなんて流石に見た事ないわよ」
「俺も無いけど、それは大丈夫だ。ミクがこの前俺達は同じ因果律にいると言ってただろ。じゃあヒカリンが死ぬはず無いんだよ。俺が必ず見つける。これは確定してる事だと思うんだ」
「それは、そうは言ったけど」
「それでいつまでに必要なんだ」
「ヒカリンのパパの話では1〜2年のうちには欲しいとの事でした。手に入れた場合は、出来る限りのお金を払うとは言っていましたけど俺は辞退しました。2人は自分達で決めてくれれば」
「バカじゃ無いの。お金なんか貰える訳ないでしょ。ヒカリンの命がかかってるのよ」
「私も必要ない。ヒカリンは絶対に死なせるわけにはいかないな」
俺が思ってた通り2人ともお金は要らないらしい。これでヒカリンのパパには安心してヒカリンのケアにあたってもらいたい。