A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (371)
第369話 遭遇
俺は今14階層を探索している。
何とか金曜日までに収支をプラスに持っていき週末用の魔核を用意する事が出来たので、今日と明日でどんどん進んで行きたい。
今日も既に3回交戦しており、ベルリアの新技も披露済みだ。
大技だけあって14階層のモンスター相手でも、一撃で問題無く倒す事が出来た。
「ご主人様、奥に敵モンスターがいますが数が多いです。10体はいます。それと多分他のパーティが交戦中です」
「他のパーティが奥にいるって事か?」
「そうです。モンスターと戦っているようです」
「シル、状況が分かるか?」
「はっきりとは分かりませんが多分押されていると思われます」
この階層でも1度に出現する敵は3〜5体程度なので、この先にいる敵の数は明かに多い。
もしかしたら偶発的に敵の集団2つ以上と同時に出会ってしまったのかもしれない。
探索者パーティの実力が分からないから何とも言えないが、苦戦しているのもうなずける。
ダンジョンは広い上に多岐に渡っているので、他の探索者に会うことはそれほど多くない。
今まで俺が会った事がある探索者でも交戦中だった事は稀だ。
数回リア充パーティのアオハルモードを見せつけられたぐらいしか記憶に無い。
当然助けに行くべきなのだろうが、kー12のパーティ構成が特殊なので躊躇してしまう。
「みんな、どうする?助けに行ったほうがいいよな」
「当たり前でしょ」
「行きましょう」
「急いだほうがいいだろう」
メンバーの答えは即決だった。
悩んでしまった俺がバカみたいだが、先に急ぐ事にする。
ダンジョンの前方の角を曲がると、先にいるパーティが敵モンスターに囲まれているのが見えた。
探索者のパーティは男4女2の6名パーティだが敵モンスターは、ほぼ倍の11体いるので完全に囲まれている。
探索者になる時の講習で習った事だが、ダンジョン内で先行している探索者が敵と交戦している場合は、基本的に邪魔をしない。もし助ける時には先行者の許可を得てから参戦する事とされていた気がする。
ただ今の状況でそれをする事は得策では無いとしか思えない。
先行のパーティが必死に戦っており、完全にモンスター達の意識はそこに集中しているので、距離のある俺達には全く気がついていない。
「みんな、気付かれないうちに奇襲をかけて数を減らす方がいいと思う。まずあいりさんとベルリア以外に全員で遠距離攻撃をかける。そのタイミングに合わせてベルリアとあいりさんも突っ込んで下さい」
指示を与えると同時にすぐに『ドラグナー』を構えて狙いをつける。
「ドゥン」
俺が『ドラグナー』の引き金を引くとのが合図となり、ほぼ同時にミクの火球とカオリンの『ファイアボルト』が放たれ、少し遅れてシルの雷撃、ルシェの風が着弾した。
完全に虚を突いた攻撃で一気に4体の敵を葬る事に成功したが、現場は一瞬混乱してしまった。
シルの攻撃による爆音もあり、先行パーティが瞬間的に何が起こったのか理解出来なかったようで、女性陣が怯んでしまったのだ。
もちろん敵モンスターも攻撃を受けた事は理解した様で、こちらを向いて捕捉したが向かってきたのは、そのうち2体のみで残りの5体は怯んで隙を見せた女性陣目掛けて一気に襲いかかっていった。
「俺達は助けに来たんだ!持ち堪えろ〜!」
混乱を収める為に大声で呼びかけてから俺も突っ込んで行く。
先行した2人は既に敵と交戦しようとしているが、俺の声で状況を把握したと思われる男性陣が女性陣とモンスターの間に割って入って攻撃を凌いでいる。
5対4の構図だったが、すぐにあいりさんとベルリアがフォローに入って5対6になり数の上でも有利になったのでもう大丈夫だろう。
俺も自分の役目を果たすべくナイトブリンガーの能力を発動した。