A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (372)
第370話 増殖
襲われていたパーティを助けに入ったが、俺も気配を薄めてモンスターの所まで行って、2体目のモンスターをバルザードで斬り伏せる。
あいりさんとベルリアもそれぞれ向かって来ていた敵を迎撃して葬ったのでこれで残りは4体だ。
……あれ?
5体いる?俺の数え間違いか?11体のうち7体を倒したので残り4体のはずだが、最初に12体いたのか?
まあ、それほど大きな問題ではないのでそのままもう1体に向かって『ドラグナー』を放つ。
これで間違いなく後4体だ。ベルリアとあいりさんも、囲んでいた敵モンスターまで到達しているのでもう大丈夫だ。
あれ………
やはり5体いる。何でだ?さすがに今度は2度目なので間違いようが無い。
「そいつら増えるんだ!倒しても倒しても増える!気をつけてくれ!俺達も10体以上は倒したんだ!」
俺達のフォローで少し余裕の出来た先行パーティの1人が大きな声で知らせてくる。
だが、増えるモンスター?そんなの聞いた事が無いが、確かにそれなら数が減らない理由も分かる。
見た目は普通のホブゴブリンだが、そのうち3体は皮膚の緑色が濃いような気もしなくも無い。
この色の濃いのが増殖するのだろうか?
どうする?ナイトブリンガーの効果が切れたとしても指示を出すべきか?
それともこのまま押し切ればいけるか?
一瞬考えだが、既に俺だけでも3体倒せているのでこのままいける気がする。
再度『ドラグナー』を構えて敵の1体に向けて放つ。
やはりこの浪漫武器は目の前の敵を倒すには十分な威力を備えているようで1撃で葬る事が出来た。
急いで数を確認するが4体に減っている。やはりこのまま押し切れる。
今度はあいりさんと連携をとり、あいりさんが切り結んでいる相手の側面に回り込みバルザードで一閃する。
これで後3体と思ったら、何故か4体どころか5体敵が存在していた。
「嘘だろ………こんなの反則じゃ無いか」
このまま俺達前衛だけが1体ずつ倒していても、相手の増殖のペースを上回る事が出来そうに無い。
特定の個体のみが増殖しているのか戦いながらでは判断する事も出来ない。
「シル、ルシェ、一気に倒すぞ!俺たちで左2体を倒すから右3体を頼む。ベルリア、あいりさん左の2体を速攻でいきます」
今すぐに思いつく手は1つ。5体をほぼ同時に葬り去り増殖の間を与えない。
そう思い指示を出した時には敵が6体になっていた。
「ミク、ヒカリン真ん中のを頼んだ!」
こうしている間にも増える可能性があるので速攻で敵との距離を詰めて戦う。バルザードの一撃は相手の武器によって阻まれたので、そのまま右手の『ドラグナー』の引き金を引いて敵を消滅させる。
隣ではあいりさんが『アイアンボール』を発動すると同時にベルリアが空を舞い『アクセルブースト』で敵を斬り裂いた。
右手ではシル達の攻撃が着弾した音が聞こえているので決まりだろう。
そう思っていると1体残っているのが目に入ったので即座に『ドラグナー』を放ち殲滅した。
どうやら戦っている間に7体目が増殖を済ませていたらしい。
これで全部倒した。さすがに無の状態から増殖したら手に負えないので注意深く周囲を窺うが、どうやら新たに敵が発生する気配は無い。
「ふ〜。終わったみたいだな。みんなお疲れ様」
どうにか倒す事が出来たようだが、増殖スキル?があるのだろうか。今まで見た事は無いが、完全にチートだ。反則級のチートスキルだろう。
今の俺達に一気に片をつけるだけの火力が備わっていたから撃退する事が出来たが、そうでなければ死ぬか逃げ切るまで戦い続ける必要があったかもしれない。
やはりゴブリンは侮れないのかもしれない。