A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (376)
第374話 チャレンジ
俺は今14階層にいる。
みんなに電話で相談した結果来週のレイドバトルの件は受ける事となった。
問題は俺達がこの週末までに15階層に到達できるかという事だが、少しでも進む為に平日だが14階層に潜っている。
ただし、高校生組は3人共が来週学年末テストを控えているので、週末以外は自宅学習をする事になった。
俺は普段通りの生活を送った方が集中出来て良い結果を生んでいるので、今まで通りダンジョンに潜る事にした。もちろん授業は今まで以上に集中して聴いている。
その為、あいりさんと俺そしてサーバントの3人の5名体制で潜っているが、前衛の3名がそのままなので大きな問題無く探索が進んでいる。2名の欠員分はシルとルシェに頑張ってもらっているので、収支は著しく低下しているが、今週だけなので諦めている。
あいりさんは戦闘以外の部分でも充実感を漂わせている。
「シル様、お疲れではないですか?よかったらおんぶとかいかがでしょうか?ルシェ様もなにか必要な物とかないでしょうか?」
普段残り2名と共有しているシルとルシェの時間を独占できているので、完全に普段のキャラクターが崩壊してしまっているが、とにかく嬉しそうにしているので俺からは何も言う事は無い。
「ご主人様、前方にモンスター5体です」
「それじゃあさっきと同じで行くから」
ほぼイメージは1人1殺でいっているが、今回はシルとルシェにも遠慮せずにどんどん敵を倒すように指示を出している。
目の前に現れたホブゴブリンの一団を迎え撃つべく、バルザードの斬撃を飛ばして突っ込んで行く。
『ドラグナー』であれば一撃で仕留める事も可能だが、ミクとヒカリンのいない分、少しでも長く潜る為にMPの少ない俺は省エネを優先して戦略を練っている。
既にバルザードの飛ぶ斬撃で手傷を負った相手に向かって止めをさすべく斬り込んで行くが、念のためにナイトブリンガーの能力も発動して向かう。
MPの節約を考えれば本当はナイトブリンガーも発動させない方がいいのだが、さすがに素の状態で突っ込んで行くのは精神的に抵抗感があり、いつものように姿を眩ませながら死角に移動してから確実に仕留める。
この辺りが、自分の小物感とアサシン感を痛感してしまう所だが、こればかりはすぐには変えられそうに無い。
逆にあいりさんとベルリアは正面から正々堂々突っ込んで斬り結んでいる。
あいりさんは正面から斬り込んで、モンスターと斬り結んでいる間に正面から『アイアンボール』を叩き込み、ダメージを受けて動きが止まった瞬間に斬り伏せる。
初見で至近距離からの『アイアンボール』を防ぐ事は、通常のモンスターには、ほぼ無理なので、まともに組み合える相手には鉄板ともいえる攻撃パターンになっている。
ベルリアは2刀を使い相手モンスターを完全に手数で上回り秒殺している。
こちらも、この階層では両手に武器を持った敵はいないので2刀使いのベルリアは圧倒的優位性を保っている。
もちろんシルとルシェは1発ずつで相手を瞬殺しているが、ルシェは気分で攻撃魔法を使い分けている。
今は『侵食の息吹』を使って相手は狂って溶けてしまった。
流石は悪魔の所業だが、頼もしい限りだ。
「あいりさん、結構順調ですね。マップを見る限りは土日のどちらかで15階層まで行けそうですね」
「そうだな。私も最近影が薄いから、どうしても今回は張り切ってしまうな」
まだ気にしているのか?それとも自虐出来るぐらい吹っ切れたのだろうか?残念ながら、あいりさんの難易度の高い振りに今の俺ではうまく対応する事が出来ないのでスルーしておく。
とにかくこの数日で出来るだけ距離を稼いでマッピングを進めておきたい。