A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (384)
第382話 スタート
俺は今ギルドにいる。
今日明日でエリアボスを攻略すべくイベント参加者が集合している。
当初5パーティとの事だったが1パーティ増えて6パーティでのアタックとなった。
よく見ると14階層で襲われていたパーティも参加していた。
確かもう少しで15階層に到達すると言っていたので直前で15階層まで到達して急遽参加する事になったのかもしれない。
俺的には変な噂を流した張本人達なのであまり関わり合いを持ちたくは無い。
「おおっ、この前はどうもありがとうございました『黒い彗星』さんですよね」
「いえ違います」
「いや絶対そうですよね『黒い彗星』さん」
「いえ高木です」
「『黒い彗星』さんは高木さんと言うんですね」
しまった…………本名を知られてしまった。
「『黒い彗星』さんのパーティもやっぱり参加してたんですね。俺達すっかり『黒い彗星』さんのパーティのファンになっちゃって」
ファン?何かの冗談か?しかもこの人こんなキャラじゃなかった気がするけど、他のメンバーも何やら熱い眼差しでこちらを見ている気がする。
「お互いに頑張りましょう」
「はい!」
う〜ん微妙な感じだ。
「なあ、なんか変じゃ無いか?」
「まあファンだそうだから仕方がないんじゃ無い?」
「ファンって冗談だろ。なんかやり辛いな」
「『黒い彗星』さんの宿命じゃ無いかしら」
「やめてくれ。ゾワゾワしてくるよ」
他の4パーティにも目をやるが、どのパーティも俺達よりも平均年齢は高そうに見える。
まあ15階層まで到達したパーティであれば専業でもいけると思うので自ずと年齢も高くなるのだろう。
「それでは今から全てのパーティで15階層に向かっていただきます。集団の状態を保ったままで目的の扉迄行って頂いてから、今日はそのまま戻って来て下さい。くれぐれも単独で進む事の無いようにお願いします」
俺達は誘導されるままダンジョンまで行ってからゲートで15階層に向かった。
情報によると目的の扉はダンジョンの1/3程度進んだ付近にあるそうなので、そこまでは既に15階層を踏破している4パーティが先導する事となったが、今回のパーティでこの規模の集団戦を経験した事のある者はおらず、初めは移動する事すらままならなかった。
まず、問題となったのが、ただの移動だ。35名を超える集団がダンジョン内を詰まる事なくスムーズに進む事は、ほとんど無理だった。集団で固まると歩く歩調も違えば、違うパーティとはコミュニケーションもろくに取れていないので自由に動く事もままならず、この場をモンスターに襲われたら一網打尽にされてしまいそうだった。
流石にまずいと思ったパーティリーダー達で相談をして、パーティ単位で間隔を開けながら進む事になった。
先頭については4パーティがローテーションで担当することとなった。
自ずと俺達ともう1つのパーティが殿を務めることになったが、一応後方からのバックアタックもあり得るので気を抜く事は出来なかった。
「すごい視線を感じるんだけど、気のせいじゃないよな」
「そうですね。後方のパーティに見られてますね」
「そうだよな。違う心労で倒れそうだよ」
「有名人あるあるですね」
「俺、別に有名人でもなんでもないんだけど」
「まあいいじゃないか。それにしても後方は暇だな。前方ではそれなりに交戦しているようだが、私達が出る幕は無いようだな」
「そうですね。せいぜい前から2パーティいれば用足りてる感じですね」
現在の俺たちは5番目を進んでいるので1番前のパーティとは150m程離れており遠目に戦闘を見てるだけで終わってしまっている。
まあ同じぐらいのレベル帯の他のパーティ戦を見る機会もあまり無いので、見て勉強させてもらっているが、見ている限りではそれぞれ結構偏った戦い方をしているような印象を受けた。