A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (385)
第383話 行進
俺は今15階層を進んでいるがまだ1回も敵と交戦していない。
「これって良いのか?」
「まあ良いんじゃない。私達は15階層初心者なんだから1/3までオートマッピングされるようなものじゃない。それに次来る時の参考になるし」
「俺あんまり他のパーティの戦闘って見た事無かったんだけど、見る限り放出系の魔法を使ってる人って少なくないか?思った以上に物理的な武器を使っている人が多いな」
「まあ、うちのパーティは魔法が多いが、やはり有用な放出系魔法スキルは珍しいと言う事だろう。逆に見ていると分かるが、付与と言うか武器に威力を乗せるようなブースト系のスキルを多用しているパーティが多いように見えるな」
さすがは、あいりさんよく見ている。言われてみると、弓系の武器にしても命中率が高いし、威力も高い気がするので何かの補正がかかっているのかもしれない。
ベルリアの『アクセルブースト』やあいりさんの『斬鉄撃』に似たスキルなのだろう。
「でも見る限り『ドラグナー』っぽい武器を使っている人もいないですね」
「まあ、空を飛ぶモンスターには遠距離用の武器は必須だろうが、そうでは無い敵に魔核銃の類を使用するのはハイコスト過ぎるからこの階層では、余り使用する機会はないんだろう」
「そうね。スライムの魔核を毎週の様に何百個も集めて来れる人も限られてるし」
これは、褒められているのか?いや、おそらく馬鹿にされてるんだな………
でも俺は生粋のスライムスレイヤーなんだよ。スライム狩りに誇りを持っているんだ!
戦闘を見ていると目に見える魔法は少なめだが、武器はそれぞれ良いものを使っているように見える。
恐らくほとんどの探索者が魔剣かそれに類する武器を持っているように見える。
片腕に固定した小型のボウガンのようなものを使っている人もいるが、ブーストを使用しているにしても威力が高すぎる気がするのであれも魔法付与されたマジックアイテムなのだろうと推察される。
敵モンスターも先日俺達が交戦した金豚の他に銀豚そしてケンタウロスっぽい下半身が獣で上半身が人型のモンスターが出て来た。このモンスターは明らかに上半身男のモンスターしか出て来ないようだ。
少し残念な気もするが、上半身女性だと気が咎めるのと、他のメンバーを前にどう反応して良いか混乱してしまいそうなので、これはこれで良かったのかもしれない。
ユニコーンのような角の生えた大型の馬も現れたが、思ってたのとは違い、獣っぽさが強く可愛くも美しくも無い。
今のところ幻獣っぽいのが何種類か出て来ているが、どれもゲームのイメージの幻獣とはそれぞれ異なっている気がする。やはり人間は、憧れる物の対しては美化するきらいがあるのかもしれない。
完全に気を抜きながら歩いていると
「ご主人様、後方からモンスターです。ご準備お願いします」
おおっ、今日初めての戦闘だ!俺達は後方から2番目なので、最後尾の例のパーティをサポートする形で臨む。
「みんな、後ろのパーティが直接当たるだろうから俺達は、遠距離攻撃中心にサポートしようか。動き方が分からないから、誤射だけはしないようにいこう」
そういえば最近になって知った事だが、このぐらいの階層まで来ている殆どのパーティは感知石と言うレーダーの役割を果たすマジックアイテムを持っているらしい。
金額が8桁らしいので下位の探索者では無縁のものらしいが、一定の距離までモンスターに近づくと石が光るらしい。
以前の階層で魚探を使用したので、レーダー的な物もあるのかと思っていたが水場以外では磁場が関係するのか分からないが上手く作動しない事が多く故障も多いので最終的には探知石に落ち着くのだそうだ。
ただし、シルのように詳しい距離や数が分かる訳では無い様なので俺は本当に恵まれている。
シルにはいつも感謝しかない。