A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (387)
第385話 行軍
俺は今15階層を進んでいる。
ローテーションで入れ替わりKー12は最後尾を進んでいる。
最後尾になったので少しは戦う機会があるかと気合いを入れ直して進んでいるが今のところモンスターは前方からしか現れていない。
今までもそうだったが基本的にダンジョンのモンスターは殆どが奥から出現する。
一度通った所から急に現れるという事は稀なので、これだけの人数が通ったあとに後ろから襲って来るモンスターは殆どいなかった。
「どうだシル?モンスターいる?」
「はい、前方には確認出来ますが、今のところ後方にはいない様です」
「海斗〜ひま〜。わたし今日なにもしてないぞ!」
「そう言われてもな〜俺のせいじゃ無いから。まあ明日は間違いなく出番があるだろうから今日はもうカードに還っとくか?」
「ふざけるな!還るわけないだろ!」
「じゃあ今日は大人しくしておいてくれよ」
それから更に30分ほど歩いた所で
「ご主人様、ようやくです。後方からモンスターです」
「おおっ、ようやくか!数は?」
「はい。それが1体だけです」
「そうか、もしかしたら単体で凄く強いやつかもしれないしな」
「そうですね」
「それじゃあ、ベルリアと俺が前に出るから、みんなはこのまま待機でお願い」
他のメンバーを残して俺とベルリアで後方に向かって進んで行く。
現れたのはケンタウロスだったが、亜種なのか俺がゲームなどで知っているケンタウロスとはかなり異なる。
下半身は馬だと思うが、多分シマウマだ。そして上半身だが人の上半身が占めているのではなく馬の首が伸びており頭の部分だけが人間っぽい。腕は4本の足とは別に胴体というか馬の首の付け根の下側に付いている。
多分ケンタウロスの亜種だとは思うが、どちらかと言うと馬に腕がついて頭が人型。人面馬と言った方がいいかもしれないが、思い描いていたケンタウロスと全体の割合というかバランスが大きく異なる為に、カッコよく無いというか何となく気持ち悪い。
「ベルリア、これ多分ケンタウロスだよな」
「マイロードまず間違いありませんが、縞模様も相まって気持ち悪いですね」
「だよな」
ベルリアと2人で敵モンスターの品評をしていると
「聞こえているぞ!足が2本しか無いお前らの方が気持ち悪いわ!」
やっぱり人型の頭をしているので普通に喋って来た。
「やっぱり喋れるんですね。一応聞いておきますが戦わずに逃げたりしてくれたりそんな事ってあります?」
「舐めているのか?薄い顔の人間が調子に乗っているのか?」
「いや別に舐めてる訳では無いんですけど」
薄い顔………確かにケンタウロスの顔はイタリア人も真っ青というぐらい濃い。この顔に比べたら俺でなくとも大半の日本人の顔は相当薄いんじゃ無いだろうか。
「マイロード、この無礼なモンスターは私にお任せ下さい」
「1人で大丈夫か?」
「はい、問題ありません。こんな顔の濃い奴に遅れをとったりする事などあり得ません」
「そうか、それじゃあ任せるけど危なくなったら助けるな」
ベルリアが2刀を構えて前に出たのでそれに合わせて俺は一歩下がる。
『アースジャベリン』
いきなりケンタウロスが魔法を発動しベルリアに向かって3本の石の槍が飛んできたがベルリアが華麗に最小限の動きでかわしていく。
何気に1回の詠唱で3つの槍が出て来たのは凄い事な気がする。
俺達のスキルでは1回の詠唱で1つの現象しか起きていないので元々3つワンセットなのかそれともレベルとかの関係で3つ出せるのかは分からない。
ケンタウロスは石の槍が避けられたのを見て4本の足で走り始めて、再び『アースジャベリン』を発動するが、またしてもベルリアは完全に避け切ってしまった。
ベルリアは完全にケンタウロスの攻撃を見切っている。
やはり、俺の剣の師なだけはある。まだ俺にはこの動きは出来そうに無い。