A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (398)
第396話 後片付け
俺達は15階層の隠し部屋を攻略した。
合わせて100体を優に超える数のミノタウロスを倒す事に成功しており、当然魔核も同数だけ落ちているので全員で回収して回る。
見る限りかなり大きめの魔核なので1個2万円ぐらいはするのでは無いかと思う。
中に数個大きいのが混じっていおり、恐らくキングミノタウロスの魔核だと思われるが、全部合わせると結構な買取額になりそうだ。
ただ35名で割ると1人10万円ぐらいかもしれない。
全員で拾い集めた結果ミノタウロスの魔核が112個キングミノタウロスのものと思われる大きめの魔核が8個マジックジュエルが1個に魔剣が1つ。そして赤い魔核が1つが残されていた。
魔核はともかくマジックジュエルと魔剣がドロップしたのは大きい。
こちらの方が完全に金額は上だと思うが売却価格は両方で1000万円は超えるだろう。
問題となったのは赤い魔核だ。まさかここで出るとは思っていなかったが、出てしまったのでルシェが騒いでいる。
「さっきくれるって言ったばっかりだろ!嘘だったんだな。地獄に落ちるぞ!」
「いや、あれはみんなの分だから。俺の取り分は1/35しかないからかけら分しかないんだって」
「それじゃあかけらでもいいからくれよ」
「そんな器用に1/35だけ切り出せるわけないだろ。また今度俺が見つけたらな」
「う〜っ。今度っていつだ!次は絶対くれよ!」
「分かってるよ」
あの赤い魔核は以前俺が見つけたものより明らかに大きいので、恐らく300万円ぐらいはするのでは無いだろうか。いくらなんでも味見にルシェに与えるには高すぎる。
俺としては今度米粒ぐらいの赤い魔核が見つかる事を祈る事しか出来ない。
それでも10万円以上の価値があるはずだと思う。
「みんな怪我とかないかな?」
パーティメンバーに声をかけるが、幸いな事にみんな元気そうにしている。
他のパーティに目をやると、前線で戦っていた探索者はそれなりに負傷している者もいた様だが、それぞれが回復アイテムなどを使用して全員無事の様だ。
これだけの数のモンスターを相手に誰1人欠ける事なく攻略出来たので大成功と言っていいだろう。
「それじゃあ15分休憩したら、また順番に戻るぞ〜!」
ここに着いた時に先頭を受け持っていたパーティリーダーが声を上げたので、15分休憩してから戻る事にする。
「いや〜なかなか手強かったな。キングミノタウロスに進化するとは思わなかったし」
「海斗、キングミノタウロスってなに?」
「あの赤いミノタウロスだよ」
「あの赤いミノタウロスってキングミノタウロスって言うの?」
「いや、俺が勝手に命名しただけだから正式名称は分からないけど」
「そう、もし未確認の個体だったら本当にキングミノタウロスになるかもね。命名者高木海斗ってなるかも」
「モンスターの名前ってそんな決め方だったのか?」
「適当に言ってみただけよ」
15分間休憩したので、身支度を済ませ連なって地上に戻る事になった。
俺達は定位置の後ろから2番目に陣取り出発したが、帰り道は来る時よりもモンスターと遭遇する回数は少なく、かなりスムーズに進んでいる。
歩きながら考えていたが、来る時にエリクサーがドロップしないかとも期待したが、残念ながら思った様にはいかなかった。
「ヒカリン、今日はかなり活躍だったな〜。やっぱり敵の数が多いと高火力の魔法の威力はすごいよ」
「ありがとうございます。でもあれは魔法と言うか化学反応と言うか……」
「いいとこ取りですごいって。それと身体は大丈夫?」
「はい。全く問題無いのです」
「そう、良かった」
俺にはヒカリンの言葉の真偽は分からないが、時間が限られているのは間違いのない事で、時間が過ぎていっているのも間違いのない事だ。
レイドイベントも無事に終わったので、春休み中にどうにか霊薬を見つけられる様に頑張りたい。