A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (400)
第398話 祭り
「ホーリーティンカーベルって何?初めて聞いたんだけど」
「昨日、探索者の情報掲示板が『黒い彗星』でお祭り騒ぎになったんだよ」
「は?何言ってるんだよ。祭りって何のことだ?」
「昨日、レイドイベントクリアしただろ。その時の報告で盛り上がったんだけどネタのほとんどが『黒い彗星』ネタだったんだ」
「もしかしてこの前噂流したあのパーティか?」
「いや、昨日は複数パーティからの情報だよ」
「ホーリーティンカーベルも他のパーティからの情報だぞ」
「ホーリーティンカーベルって何?」
「昨日のレイドで小さな妖精か天使みたいな姿を見たって。それでついた2つ名がホーリーティンカーベルだよ。小さいけど神々しくてすごい魔法を使うって話題になってるんだ」
「あ〜ルシールの事か。あれはパーティメンバーと言うか、シルの眷属なんだ。シルが一時的に召喚してるだけなんだけどな」
「シル様の眷属?しかも召喚?やっぱりすごいな」
「それよりホーリーティンカーベルってなんなんだ」
「昨日のお祭りで海斗のパーティの全員に二つ名がついたんだ」
「全員に二つ名?意味がわからないんだけど」
一体どんな流れで全員に二つ名がつく事があるんだ?
しかも何で俺祭りなんだ?
昨日は6パーティ合同でそこまで目立っては無かったはずだ。
ルシールにしても、数分間の間に端で数回スキルを発動しただけなので、ほとんどの探索者の目には触れなかったと思うが、なぜルシールにまで二つ名がついているんだ。
「海斗、昨日の集団戦で活躍しまくっただろ」
「いや、普通に頑張ったけど、俺自体は特別活躍しては無いと思う」
「魔法銃の一撃でボスみたいなの倒したんだろ」
魔法銃の一撃でボスみたいなの………
ああ、弱ってたキングミノタウロスに『ドラグナー』で止めをさした事か。
「あれは、他の人達がかなり弱らせてたんだよ。たまたま俺の一撃が止めになっただけだぞ」
「そうなのか?でも倒したのは間違いないんだろ。掲示板では青い閃光の一撃で瞬殺したって盛り上がってたぞ」
「瞬殺………それは俺が加わったのがその時だけで、他の人達がずっと戦ってくれてたからな。かなり事実とニュアンスが違う気がするけど」
「まあ、それもあって『黒い彗星』は見掛け倒しじゃ無くて本当に凄い奴だったって報告があがってるんだ」
「……………」
そんな事になってるのか。確かにあの場面だけ切り取ればそう見えない事はないが、これからどうすればいいんだ。勘違いからの過剰な評価が怖すぎる。
「シル様は閃光の戦乙女に決まったよ」
「閃光の戦乙女………決まったって何?」
「いやだから掲示板でいくつか候補が出たんだけど、最終的に閃光の戦乙女に決まったんだよ」
閃光の戦乙女か。確かにシルを上手く言い表しているとは思うが、決まったって本人不在で決まったも何もないと思うが。
「シル様は流石の活躍だったみたいだな。神槍の一撃に雷撃にミノタウロスを蹂躙したそうじゃないか。俺もシル様の勇姿を見てみたかったよ」
「俺もだよ。早くレベルアップしてシル様達と同じイベントに参加出来る様になりたいよ」
「そうか……。まあシルは確かに昨日も活躍してたからな。まあ納得出来ない事はないかな」
シルの場合風貌も含めて、こういうイベントに参加すれば目立つのは間違い無いので二つ名は遅かれ早かれついたかもしれないので、そこまで驚きは無い。
「それはそうと、俺のパーティ全員に二つ名がついたって言ってたよな」
「ああ、全員についてるぞ」
「ペットみたいなのも含めてな」
ペットとはスナッチの事か。
スナッチまで二つ名がついてるのか。これはちょっと目立ちすぎたのかもしれない。