A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (404)
第402話 15階層へ
俺は今15階層に来ている。
土曜日になり、パーティメンバーが集まって本格的に15階層に臨む事となった。
先週レイドイベントで他のパーティについて回っていたので既に1/3付近迄はマッピングも終わっており、ある程度出現するモンスターも把握出来ているので全く未踏のダンジョンよりは安心だが、気を抜かずに細心の注意を払って進んでいきたい。
「みんなちょっといい?みんなは探索者のネットワークとか全然興味ないんだよね」
「ないけどそれがどうかしたの?」
「あ〜それが、この前のレイドイベントで盛り上がったみたいでみんなにも二つ名がついたそうです」
「二つ名?私達3人共に?」
「うんそうみたいだな」
「ちなみにわたしは何?」
「ミクは轟の炎術使いだそうだ」
「轟の炎術使い………私炎術なんか使えないんだけど」
「多分スピットファイアで撃ちまくってたからそれでついたんだと思う」
「ふ〜ん。悪い感じはしないけど素で呼ばれると恥ずかしいわね」
いや轟の炎術使いってかっこいいじゃないか。 黒い彗星の方がずっと恥ずかしいぞ!
「ミクさんはかっこいい呼び名ですね私はなんですか?」
「カオリンは大魔導少女だ!」
「大魔導少女ですか。何かすごく大袈裟な名前ですね。男の人のセンスですよね。あんまり可愛くないです」
「融合魔法を使ったせいだと思うから、俺は悪くはないと思うけど」
「私は何になったんだ?」
「あいりさんは、令和御前だそうです」
「急に古風になったな。令和御前………微妙だな」
「薙刀使ってるので、巴御前のイメージで令和御前だそうです」
「巴御前をイメージしてもらうのは嬉しいが令和御前か………」
まあ、あいりさんの気持ちも分かる。俺が聞いても微妙な呼び名だと思う。陰で令和御前と呼ばれると思うと微妙な気持ちになっても仕方がない。
「一応スナッチにもあってモフモフ爆弾だ」
「それって二つ名って言うの?ただのあだ名じゃないの」
「そうとも言えるかもな」
15階層をしばらく進んでいくとケンタウロスが3体出現した。
前回交戦したおかしな姿の亜種ではなく本物っぽいケンタウロスだったので少し安心してしまった。
弓を持つのが2体と槍持ちが1体だ。
「ミクとヒカリンは弓を持ってるやつを牽制してくれ。ベルリアとあいりさんが槍持ちを頼みます。俺も後ろでサポートします。シルは『鉄壁の乙女』を使ってくれ」
相手が飛び道具を持っている以上、後衛の2人への直接攻撃だけは避けなければならないのでシルに頼んでおく。
2人が前に出ようとした所を思った通り弓を持った2体が矢で攻撃して来たが、矢が燃えているので矢に炎を付与する魔法か何かを使っているのだと思う。
最初は炎を纏っただけなら当たらなければ問題無いと思ったが、本来点の攻撃である矢での攻撃がファイアボール程度の範囲の炎の矢尻となって迫ってくるので、大きくよければならなくなった。
後方からミクとヒカリンが援護する。カオリンが『アースウェイブ』で足止めをしてミクがそれを狙い撃ちにするが、もう一体の方を俺が受け持ちバルザードの斬撃を放つ。
『ドラグナー』も使いたい所だが、普段から頻繁に使っていてはMP切れを起こすのは目に見えているのでバルザードを主体に攻撃を組み立てる。
俺が攻撃した個体は攻撃対象をベルリア達から完全に俺に切り替えた様なので、急いで『鉄壁の乙女』の範囲内に逃げ込んでから再度攻撃に転じる。
「海斗、やったわよ」
ミクが声をかけてきたので、もう1体の方に視線をやるとケンタウロスの1体が既に消失していた。
「ヒカリン、俺の方にも『アースウェイブ』を頼む。ミクはベルリア達のフォローを頼む」
既にベルリアとあいりさんは前方で槍持ちと交戦状態に入っているので、命中精度の高いミクに任せた方が良いと判断してフォローを頼んだ。
俺がこの位置から狙うと最悪ベルリアに直撃しかねない。
ベルリアなら直撃しても死ぬ事はないと思うが一応念のためだ。