A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (405)
第403話 1/3の先へ
俺は今ケンタウロス2体と交戦している。
俺の相手にはヒカリンが『アースウェイブ』を放ってくれたので、4つ足の機動力は完全に削がれており、後は慎重に仕留めるだけだ。
向かって行くと炎を纏った矢を射って来たが、足を取られているせいで一方向からに限定されているお陰で、容易に避けることが出来た。
矢を避けながら近づいて行き、一気に懐に入りケンタウロスの足の一本に向かって一閃する。
足の一本を失ったケンタウロスは完全に動きが止まり、そのままバルザードを突き入れて消失させる事に成功した。
ベルリアもミクとの連携でダメージを与えながら『アクセルブースト』で止めをさした。
「やっぱり、15階層だけあって強いな。豚と言い油断出来ない」
「それにしても幻獣エリアと言いながら豚、馬、牛って家畜エリアみたいになってきてるわね」
「言われるとそうですね」
「モンスターミートがドロップすれば美味しいかもしれないな」
あいりさんの言う通りだ。今まで得体の知れない様なモンスターの肉でもあれほどに美味しかったのだから
豚や牛ならイベリコやA5ランクを遥かに凌ぐ美味しさかも知れない。
ただ馬は食べたことが無いので想像がつかない。
「みんな馬って食べたことがある?」
「私ありますよ。赤身でさっぱりした感じで美味しいですよ」
「そうなんだ。じゃあモンスターミートだと……やっぱり想像できないな」
「ドロップすると良いですね」
そこから数度戦闘をくりかえして1時間半程度で前回の到達点である扉の所迄来ることが出来た。
前回は2時間半ぐらいかかったので、単独パーティの方がかなり進行スピードは早い様だ。
『ゲートキーパー』を使える俺達には関係無い話だが、15階層を超えてくると20階層のゲートエリア迄の中間層でかなり時間をくってしまうので1〜2泊程度の泊まり込みでの探索が増えるらしい。
その場合キャンプセットを用いる事が多い様だが、当然荷物が嵩張るのでマジックポーチは必須だろう。
流石にキャンプセットを担いで戦闘は無理だと思う。
ボス部屋だが、不思議な事にしばらく時間が経過するとまたモンスターが出現する様になるらしい。
ただ出現するモンスターは、最初のボスモンスターでは無くランクの落ちるモンスターが出現するらしく、強さも劣り、ドロップアイテムが出る事も無くなるそうで最初の踏破者だけが苦労する分見返りも大きいと言う事らしい。
ここからは初めてのエリアになるので気を引き締めて進んで行きたい。
そこから20分程歩いた所でシルが敵の出現を知らせてくれた。
「ご主人様、敵モンスターが、かなり高速でこちらに2体向かってきます」
「じゃあ一応『鉄壁の乙女』を頼んだ」
未知のモンスターかも知れないので念の為に『鉄壁の乙女』を発動してもらい、全員サークルの中で待ち受ける。
待っていると直ぐに敵が現れた。
白い馬と白黒のシマウマの2頭だが頭にはしっかり角が生えているのでユニコーンの一種だろう。
しかしこの前のケンタウロスの亜種と言いこの階層はシマウマ率が結構高い気がする。
白い方のユニコーンはユニコーンとしての風格もそれなりにあるのだが、シマウマの方はユニコーンと言われてもいまひとつピンと来ない。
たださっき話していた所に馬のモンスターなのでもしかしたらモンスターミートをドロップするかも知れないと思うと自然とテンションが上がってしまった。
『鉄壁の乙女』の中で考えに耽っているとシマウマユニコーンの角が一瞬光ったと思った次の瞬間『鉄壁の乙女』のサークルに雷と思われる攻撃が当たって消失した。
危ない。気を抜いている余裕は無かった。