A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (417)
第415話 竜種
大こうもりを退けてから30分程歩いたがちょうどお昼ご飯の時間になったので、ダンジョンの一画でみんなでご飯を食べる事にする。
今日の俺のメニューはカレーパンにちょっと贅沢ないくらのおにぎりだ。
やはりパンとおにぎりの組み合わせがダンジョンランチのマストだろう。
たまに甘いパンも食べたくなるが、お昼にはおかずパンは最高に美味しい。
他の3人はいつもの通り手作り弁当を食べているが、いずれの弁当も非常においしそうだ。
いつ見てもバリエーション豊かで手作り感と家族愛満載に見える。
間違っても俺の母親には頼めないレベルのクオリティだ。
今までも、ダンジョンの傍で何度もランチを食べているが、今までに食事中敵が襲って来た事は1度も無い。
たまたまかも知れないが、もしかしたらモンスターは人間の食べ物の匂いには興味を示さないのかもしれない。ただ人には反応するので人の匂いは嗅ぎ分けているのかも知れない。
「そういえば海斗、彼女とデートするんでしょ。どこに行くのか計画してるの?」
「いや、まだだけど。それと彼女でもない」
「映画は行った事あるのよね〜。遊園地とか水族館とか定番でいいんじゃない?」
「遊園地か〜。混んでるだろうな」
「それが良かったりするんじゃない?」
「そんなもんかな」
「遊園地とかならノープランでも1日遊べるでしょ」
「ああ、ありがとう。考えてみるよ」
ヒカリンといい何かと気にしてくれているが、映画とショッピング以外のプランを思いつく事が難しいので素直に助かる。
「よし、みんな食べ終わった様だし先に進もうか」
「はい」
ランチとゴミの片付けをしてから先を目指して歩き始める。
「やっぱり、春香とデートするみたいだな」
「そうみたいですね。この前のバーベキューで私達との仲も更に深まったと思ったのですが」
「もっとバーベキューを繰り返さないとダメなのかもな」
「私達2人でしっかりとご主人様の胃袋と心を掴むのです」
相変わらずシルとルシェがこそこそやっているが、気にしたら負けなのでどんどん進んで行く。
「ご主人様、敵モンスターですが、1体だけの様です」
「この階層では単体は初めてだな。取り敢えず注意しながらゆっくり進もうか」
ダンジョンのモンスターの1度での出現数は、大体モンスターによって決まっている様なので、単体での出現となると今までのモンスターとは別種の可能性が高い。
スライムやゴブリンは別として単体で現れるモンスターは総じて結構強い事が多い気がする。
「あれって…………何?」
「蛇?」
「龍………でしょうか?」
「ああ、龍だな」
前方に出現したモンスターだが思った通り初見のモンスターだ。
見た感じは大蛇の様な風貌だが足が生えており、地面を足で移動している。
確かに言われてみると竜ではなく龍のイメージに近いが、空を飛んではいない。
地面を4本の短い足で歩いているので、空を駆けるあの龍の感じではない。
大きさも、あの龍にしては少し小さい気がする。
「大分イメージと違うんだけど、あれって龍なのか?」
「なんか飛んでも無いし大きさも中途半端だし龍の下位モンスターなんじゃ無い?」
「所謂レッサー龍じゃ無いですか?」
「ヒカリン、おそらくもっとマシな呼び方があるんじゃ無いか?」
例え下位の龍だとしても龍は龍なのだろうから弱いとも思えない。
「気を抜いてやられても不味いから、みんなで一斉にいってみようか」
飛べない龍はただの爬虫類だ。
俺達は大こうもり にやったのと同じ様に、前方のレッサー龍に向かって一斉に攻撃を放った。
俺はしっかり狙ってからバルザードの斬撃を放った。
5人の攻撃が、1秒ほどの時間の間に全弾命中した。
たかが大きめの爬虫類。これで無事なはずが無い。