A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (419)
第417 ゲートキーパーの使いかた
「強かったな。もしかして裏ボスみたいなやつだったのか?」
「そうね。普通に出てくるにしては強かったわね」
「腐っても龍ということなのです」
「だが、ドロップしたのは普通の魔核の様だから裏ボスでは無いと思うが」
あいりさんに言われて見てみると確かに通常の魔核が1個落ちているだけだ。
大きさもペガサスの物と大差ないように見える。
単純に相性の問題か苦戦を強いられてしまったが、労力の割に身入りが少ない。
「でもさっきの龍は、魔法には強い耐性を持ってる感じだったな」
「魔法だけじゃないでしょ。魔核銃とかも弾いてたし鱗が特別なんじゃない?」
「まあベルリアが直接斬りつけたらいけたんだから今度出て来たら俺も近接で戦ってみるよ」
「さっきの龍は下級だからか飛んで無かったですけど、飛ぶ龍もいるんでしょうか?」
「多分いるだろうな。流石にあれが飛んで攻撃してきたらきついな。俺達だとドラグナーかシル、ルシェに頼むしかないかもしれない」
まあ、この階層で出てくるとは思えないが将来的にはパーティとして物理的な遠距離攻撃の強化も必要になってくる気がする。パッと思いつくのは以前おっさんの店で見たランチャーだ。あの時はこんな物必要ないだろうと思ったが、必要だから売っていると言う事なのだろう。
魔核を回収してから探索を再開して更に奥に進んでいく。
そういえば最近ゲートキーパーの能力で気がついた事がある。
今までは帰る時にはカモフラージュのつもりで一旦違う階層まで飛んでから1階層に戻っていたが、何度か繰り返しているうちに気がついてしまった。よくよく考えると通常のゲートから飛んでもゲートキーパーで飛んでも1階層のゲートであればどちらも同じ様にしか見えない事に気がついた。仮に15階層のゲートから1階層に移動しても、ゲートキーパーを使用して1階層に転移しても1階層の側から見ると同じにしか見えない事に気がついてしまった。
1階層のゲートは入り口のすぐ脇にあるので、ゲートキーパーで転移したとしてもほぼ同じ場所に移動出来るのだ。
往路はゲートの無い階層に移動する場合、他のパーティに見られたら転移石を使った様に誤魔化す必要があったが、帰りはその必要は無かったのだ。
その事に気がつくまでバレるのを恐れて、わざわざ違う階層を経由して歩いて1階層に移動したりしていたのだが全くの無駄足だったようなので、今では帰る時は1階層に直接転移する事にしている。
お陰で今はダンジョンに潜れる時間がかなり伸びている。
「ご主人様、ペガサスのお肉美味しかったですね」
「ああ、美味しかったな。シルも美味しかったんだな。よかったよ」
「あのお肉なら何度でも食べたいです。でも赤い魔核が1番です」
「あ〜赤い魔核な〜。あれは簡単には手に入らないんだよな〜」
「ルシェにはあげるんですよね」
「手に入ったら一緒に食べればいいだろ」
「はいっ、そうさせていただきます」
それにしても赤い魔核、そんなに美味しいんだな。
「マイロード、よろしければ私にもお願い出来ないでしょうか?」
「う〜ん、それはどうかな〜。ちょっとな〜3人分はな〜難しいんじゃないかな〜」
「…………」
「いや、ベルリアにも食べさせてやりたい気持ちはあるよ。あるけど実際問題レアだからな〜。多分3人分は無理じゃないかな〜」
「………そうですか」
「ルシェに分けてもらえる様に自分で頼んでみろよ」
「とんでもございません。ルシェ姫にその様な事をお願いできるはずもありません。それであれば私は大丈夫です」
ベルリア………。赤い魔核をやれないのは申し訳ないとは思うが、ルシェにはお願い出来ないのになぜ俺にはお願いしてきたんだ。
いつも思うがお前の主人は俺なんだけども。