A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (427)
第425話 探索続行
「は〜っ………」
「あんまり気にしても仕方が無いじゃ無い。プロが研げば直るみたいだし」
「そうなんだけど」
バルザードの刃こぼれを見つけてしまったせいで、カメラ戦の疲労が3倍増しで襲ってきて身体が重い。
ミクの言う通り修復可能っぽいのが不幸中の幸いだったのだろう。
10分程の休憩をとってから探索を開始する。
バルザードも刃こぼれしたとは言え使えなくなった訳では無いのでこのまま探索を続ける。
ベルリアが魔剣を欲しがっているのは分かるが、それよりも俺の予備の方が急務かもしれない。
レッサー龍にカメラと敵モンスターも結構強くなって来ている気がするので武器にも万全を期したいところだ。
搦手では無く力押しして来るタイプのモンスター達なので比較的相性は良いと思うが、それでも結構苦戦している。
ただ15階層の足場は良いので、スムーズにマッピングが進んでいる。
「明日はデートなんでしょ」
「まあ、デートでは無いけど」
「どこに行くのか決めたの」
「朝はバルザードを直しにダンジョンマーケットに行くけど」
「まさかダンジョンマーケットだけじゃ無いでしょ」
「一応日曜日は考えたんだけど明日は特別何も」
「海斗さんフラれますよ」
「………映画にしようかな」
「映画の頻度が高く無いですか?」
「そうかな。春香が映画好きって言ってたから」
「映画ばっかりだと飽きられます。出来ない男感が滲み出てきてるのですよ」
「出来ない男感………普通は出来る男感じゃないのか?」
「海斗さん、明日は映画で許しますけど次の週はもう無理ですよ」
ヒカリン、無理って何?しかも許しますけどって別にヒカリンに許してもらわなくても……
言われ無ければ毎週映画に行っていたかも知れないが、これが出来ない男なのか?
映画で十二分に楽しいと思うのだが、デート情報をもっと検索した方がいいのだろうか。
「ご主人様、敵モンスターです。今度は3体です」
「俺とベルリアとあいりさんが前に。数が多いからシルとルシェもサポート頼んだぞ」
単体での出現が続いていたので、3体出ると多い気がしてしまうが、ユニコーンかペガサスかもしれない。
いつも通りのフォーメーションで進んでいくと現れたのは、レッサー龍2体にカメラが1体だった。
「こいつらって単体でしか出て来ないんじゃないのか!」
どうする?想定していなかったレッサー龍とカメラの組み合わせだが、どう考えても1人1体はきつい。
「ベルリアとあいりさんで左側のレッサー龍を。ミクも一緒に頼んだ俺が右側のレッサーを倒す!ヒカリンはフォローして。カメラはシルが相手にしてくれ。ルシェも頼んだぞ」
シルに前に出てもらいカメラの相手を頼んでから、俺はレッサー龍との戦闘に臨む。
「ウォーターボール」
俺はバルザードに氷を纏わせてからナイトブリンガーの効果を発動する。
龍の尻尾を斬った時にもかなりの抵抗感があったので、これ以上の刃こぼれを防ぐ為にも魔氷剣を発動しておいた。
MPは勿体無いが今は刃こぼれしない事を最優先に考える。
「アースウェイブ」
ヒカリンが魔法を発動して俺の相手の足止めを敢行する。
魔法の効果でレッサー龍の後ろ足が沈み込み動きを封じる。
それを見計らって一気に距離を詰めてレッサー龍を討つべく、魔氷剣の間合いに踏み込もうとするが、レッサー龍も俺の事をある程度認識出来ているのか、前方に向かってブレスを仕掛けてくるのが見えたので回避すべく左横にシフトする。
回避した直後にファイアブレスが吐き出されたが、アサシンの効果で今いた場所を焦がすのが少しだけスローな感じで見て取れたので、そのまま大きく踏み込んでからブレスを吐き終わったばかりのレッサー龍の喉元に魔氷剣を叩き込んだ。