A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (428)
第426話 いい感じ
龍の首に叩き込んだ魔氷剣は、ほとんど抵抗感無く首に食い込み、そのまま首を刈り取る事に成功した。
明らかに魔氷剣の性能を超えた一撃でレッサー龍を葬る事に成功したが、これはたまにあるアサシンの効果が発現したのだろう。
会心の一撃というか、思いがけずバルザードの切れ味が増す事がたまにあるが今のはそれだろう。
この調子ならブレスのタイミングさえ気にしていれば、レッサー龍は問題無く倒せそうだ。
左側に目をやると、ベルリアとあいりさんが交戦しており、カメラの方に向くと丁度シルが神槍ラジュネイトの一撃を放つところだった。
「亀がいくらくるくる回っても所詮は亀です。我が敵を穿て神槍ラジュネイト」
シルが回転するカメラに向かって高速の一撃を放つと、カメラはその体に大きな風穴を作り消失してしまった。
ルシェが手伝った形跡は無く、どうやらシル1人で瞬殺してしまったらしい。
あれ程俺達が苦戦したカメラを一撃で倒してしまった。
シルの鉾はカメラ程度の盾は問題にならないという事らしい。
俺には無縁の力だと分かってはいるが少し羨ましい。
「シル、流石だな」
「ありがとうございます。ご主人様もすごかったですよ」
「見てたのか?」
「はい、もちろんです」
「シルに比べるとな〜」
「いえご主人様も確実に強くなっています」
お世辞でもシルに褒められると嬉しい。
「やあああああ〜!」
あいりさんの大きな声が聞こえて目をやるとあいりさんが『斬鉄撃』を発動して薙刀を一閃するのが見えた。
薙刀が振り切られると同時にレッサー龍の首が落ちて消滅した。
あいりさんも流石だ。
恐らく3体倒すのに1分かかっていないと思うので、ほぼ完勝と言っていい出来だと思う。
レッサー龍の倒し方はパーティ全員で共有出来ており、カメラについてはシルに丸投げする事で今までに無くスムーズに戦闘を運ぶ事が出来た。
「みんなお疲れ様。思ったよりうまくいったな〜」
「そうですね。すぐに戦闘が終わったので消耗も少なかったのです」
「レッサー龍はなんとかなりそうだけど、亀の方は流石シル様ね」
「シル様は流石だが、3体で出て来たと言うことは亀3体の可能性もある。十分に気をつけて進む方がいいだろう」
「そうですね」
カメラ3体か。その場合2体はシルとルシェで対応出来るとして、もう1体は俺達の担当になるだろうから、何らかの対策が必要だろう。
「ふ〜っ」
「ヒカリンどうした?疲れたの?」
「いいえ大丈夫です。ホッと一息ついていただけなのです」
「そう、それならいいけど」
1回毎の戦闘時間はそれ程長くは無いが、精神的には確実に消耗しているので、その後も探索を進めたが少し早めに切り上げて今日の探索を終える事にした。
ダンジョンを切り上げてから家路についたが、今日はバルザードを持って帰っているので少し目立ってしまう。
もちろん鞘に入れているのだが、ロッカーを借りてから武器を持ち運ぶ機会も余り無かったので、なんと無く周りの目が気になってしまう。
以前は全く気にならなかったのに不思議な物だが、これが慣れと言うものなのだろう。
バルザードの事もあるが、そろそろマジックポーチが欲しい。
家への持ち運びも、もちろんあるが、ダンジョンの敵もだんだん強くなってきたので身軽な動きを確保する為にもそろそろマジックポーチが必要なタイミングが来ているような気がする。
俺の荷物はそれ程多くは無いので1番小さいポーチでいけると思うが、ミク達のポーチで1000万は下らない筈だ。
出来る事ならハーフサイズや中古のポーチが安く出回ったりしないだろうか?
1番いいのは、ドロップする事だが今まで1度もドロップした事ないので望みは薄いだろう。
火力アップにランチャーも欲しいが、マジックポーチが優先だろう。
せっかくなので明日武器屋のおっさんにも聞いてみようと思う。