A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (43)
第43話 隠しダンジョン
俺は隠し通路の前にいる。
これからどうすべきか考えている。
選択肢は3つだろう。
1・・・このまま戻ってギルドに報告して、後日挑戦する。
2・・・無かったことにしてこのまま立ち去る。
3・・・準備も予備知識もないがこのまま隠し通路を探索する。
当然、2の選択肢はないが、1と3は悩みどころだ。
普通であれば1が望ましいのはわかる。わかるが、隠し通路の先が気になる。
お宝が眠っている可能性もある。
しかし、完全に未知の領域だ。何が起こるかわからない。俺たちで対処できるか疑わしい。
「う〜ん。どうしようか。シル、ルシェどう思う?」
「ご主人様の思うようにすればいいと思います。3人なら何があっても大丈夫ですよ。」
「あー。せっかく見つけたのにもったいないだろ。なに悩んでんだよ。」
「そうだよな。よし、決めた。進もう。」
結局俺は進むことにした。先が見たい好奇心に勝てなかった。
「ここからは何があるかわからないから、慎重に行くぞ。シルもモンスターがいたらすぐ知らせてくれ。ルシェも自分の判断で先制攻撃してもいいからな。」
「はい、わかりました」 「わかった、ぶっ放してやるよ」
俺は、通路を進んでいったが、ただの一本道ではなく、そこにはダンジョンが存在していた。
隠し通路ではなく隠しダンジョンだったようだ。
おそらく、そこまで広くはないのだと思うが、用心しながら探索を開始する。
歩いているとシルが
「ご主人様、そこの床がちょっと変です。」
ちょっと見、なんの変哲も無い床だが・・・
シルが言うのなら多分そうなんだろう。
俺は、小石を投げてみたが、変化がない。今度はタングステンロッドで先の床を叩きながら進む。
「ズザザザー」
「うおっ。」
タングステンロッドでたたいた床の一部が崩れ、蟻地獄のように砂が流れていっている。
「これはやばいな。シル、この先おかしなところがあったらすぐ言ってくれ。ルシェもシルより先行しないよう注意して進んでくれ。」
おそらく砂にはまると、抜け出せなかっただろう。
通常のダンジョンと明らかに違う。今までモンスターは出現したが、トラップが出現したのは初めてだった。
先程の床もシルがいなかったら、危なかった。
残念ながら、罠看破のような便利なスキルは持ち合わせていない。
シル頼みで進むしかないな。
その後も探索を進める
「向こうにモンスターが3体います。」
初出現のモンスターを確認すると、そこにいたのは
なんと
真っ赤なワイルドボア? 2匹と真っ黄色のブロンズマン?だった。
どちらも強烈な原色カラーとぶよぶよでサイズが一回り以上大きい気がする。
「ちょっと目が痛いです。」 「気色悪い色だな!!」
シルとルシェが騒ぎ出した。
「今までと同じで行くぞ。」
「気持ち悪いです。今までよりひどいです。」
「同じじゃない。あの色とブヨブヨのサイズ見てわかんないのか?バカかバカなのか?」
シルとルシェが騒いでいるが、スルーして指示を出す。
「シル『鉄壁の乙女』 ルシェ 黄色い方を頼む」
俺はそのまま『鉄壁の乙女』の効果範囲内からボウガンの矢を連射する。
いつものワイルドボアならこれであっさり仕留めれる事が多いのだが、一回り以上大きいせいか脂肪のせいか、なかなか倒せない。 1匹に手こずっている間にもう1匹に距離を取られた。
1匹は放っておいて今掛かっている方に集中して追撃を続ける。
矢を5本命中させたところで消失した。
俺の横でルシェが黄色の方に なんと『侵食の息吹』 を使用していた。
気持ち悪いからか、動転したのか 突然の使用となったが敵には初使用だった。
「グジュル、ジュル」
ブロンズマンに思考能力がないのか、狂ったようなそぶりはなかったが、気持ち悪い感じに溶けて消失した。
生物系以外にも問題なく効くようだが、やっぱりあんまり気持ちの良いスキルではない。
残った1匹を追いかけて俺が飛び出す。
月の輪熊ほどもある体躯だが。かなり素早い。
猛然と逃げ回るのを、予測して先回りしてボウガンの矢を射出する。
1本命中すると、さらに激しく逃げ始めた。
間違っても、ぶつかられないように、注意に注意を重ねながら追い詰めていった。
最後、5本目の矢がささるのと同時に消失した。
2体で矢を10本使用してしまった。もちろん回収再利用はするけど足りるかな・・・
残った魔核は今まで最大で五円硬貨ぐらいの大きさがあった。
おそらく1個1500円は行くだろう。
でも・・・
シルとルシェの分を引くと、ほとんどゼロかもしれない。
ドロップアイテム出ないかな・・・