A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (430)
第428話 映画
「それと聞きたいんですけど、マジックポーチの中古とか格安品ってあったりしますか?」
「悪ぃ〜けど今はねえぞ。たまに装備一式下取りする時にポーチも一緒に買い取る事もあるけどな」
「それってどのぐらいの価格ですか?」
「小さいやつで500〜600万ぐらいだ」
「やっぱりそのぐらいしますか」
「マジックポーチは人気あるから中古はすぐに売れんだよ」
「そうですよね」
「まあ稀に劣化ポーチが出ることがあってその場合は300万ぐらいからの時もあるけどよ」
「劣化ポーチってなんですか?」
「ああ、たまに普通の物より容量が少なかったり、重量軽減が中途半端だったりするB品みたいなのが出ることがあんだよ」
「それって使えるレベルなんですか?」
「パーティ全員分とかは無理だろ〜けどよ。1人分なら問題ない場合がほとんどだぜ」
「じゃあ、もしそれが出たら取っといてください」
「あ〜?劣化ポーチが欲しいのか?そもそも坊主金まだ残ってんのか?」
「300万なら何とかします。使えるポーチなら買います」
「分かったよ。出たら取っといてやるよ」
「お願いします」
劣化ポーチとは良い事を聞いた。俺のパーティは俺以外みんなマジックポーチ持ちなので俺の分さえ収まれば全く問題ないので話を聞く限り劣化ポーチで十分な気がする。値段も300万なら何とか出せるのでこれから週に1回はおっさんの所に顔を出す必要があるな。
俺はおっさんに礼を言ってから春香と2人でショッピングモールへと向かう。
「海斗、マジックポーチ買うの?」
「うん、敵も段々強くなって来てるし予備の武器とかも持っていきたいから、マジックポーチは必要だと思うんだ」
「それにしても前に買った銃もそうだけど、ダンジョンで使う物って全部高いね。中古の劣化ポーチで300万円って、車より高いんだよ。びっくりだよね」
「それは俺も思うけど、買う人がいるからその値段になってるし、こればっかりは仕方がないよ」
「よくドロップアイテムとかって聞くけど、マジックポーチは落ちてたりしないの?」
「う〜ん、俺も本当はドロップして欲しいんだけど今まで1度もドロップした事が無いから難しいと思う」
「そっか〜。じゃあ高くても仕方がないね」
そんな話しをしているうちにショッピングセンターに着いたので先に映画の上映時間を確認する。
「どれか見たい映画ある?」
「今一番見たいのはこれかな〜」
「ああ『あなたの肝臓を食べたい』か〜。流行ってるみたいだな。それじゃあそれにしよう。でも次の回が13時からだからしばらく時間があるね」
「ちょっと早いけど先にご飯食べようよ」
「そうしようか」
2人でフードコートに行って俺はラーメンを食べる事にしたが、春香はたこ焼きを食べるらしい。
お昼とは言えたこ焼きだけでは少なくないんだろうか?
「お昼にたこ焼きか〜」
「美味しいよ。良かったら海斗も1個食べる?」
「いや、それは大丈夫なんだけどお昼ご飯には少なくない?」
「大丈夫。映画館でポップコーンを食べようと思ってるから」
「あ〜それでか」
「海斗は昨日もダンジョンに行ってたんでしょ」
「うん、そうだよ」
「隼人くんや真司くんも一緒だったの?」
「いや2人は別だよ。最近2人共別でパーティ組んだみたいだから」
「じゃあ今海斗はダンジョンに1人で行ってるの?」
「いや、あの、1人では無いよ。俺サーバントもいっぱいいるし」
「そうなんだね。パーティは全部で何人いるの?」
「え〜っと………7人と1匹かな」
「へ〜っ。パーティって結構人数が多いんだね。それに1匹って?」
「ああ、メンバーのサーバントにカーバンクルって言うイタチみたいなのがいるんだよ」
「カーバンクル?ちょっと見てみたい気もするな〜。可愛い?」
「俺に懐いてるわけでも無いから可愛いって感じでも無いけど見る人が見れば可愛いかも」
「そうなんだね」
ダンジョンの話しをしながらご飯を食べていると良い時間になったので映画館に再度戻ってからポップコーンとジュースを買って持ち込んだ。