A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (435)
第433話 絶叫
「ぎゃああああああ〜」
スタートして直線に入った瞬間に落ちました。
落ちたような錯覚を覚えるほどに急激に加速して下りに入った。
「ぐうううううう〜」
内臓が………
出る…………
急激な落下の後に今度は降られながらも徐々に高度を上げて行く。
「うううううう〜」
スクリューしながらローリングしている。
なんだこれは……
俺の知ってるジェットコースターじゃ無い。
激しい………
鍛えられた俺の動体視力を持ってしても視界がぶれる。
これ家族向けなのか?
必死にバーに捕まりながら春香に目をやると………
笑っていた。
そこには楽しそうに笑っている春香がいた。
俺がおかしいのか?俺が慣れてないから衝撃を受けてるだけでこれが普通なのか?
スピードを増しながらローリングして行くジェットコースターに乗りながら頭の中がまとまらない。
「ぐうううウゥ〜」
強烈なGを伴いながらゴッドサンダースプラッシュは更に加速して行く。
一体このジェットコースターはどこまで加速するんだ。
しかも高さが高すぎる。
落ちたら死ぬ。確実に死ぬ。壊れたり脱線したら確実に死ぬ。
ダンジョンでモンスターに追い詰められた時にも匹敵する恐怖感が襲ってくる。
「はははっ」
俺の隣から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
春香は本当に楽しいようだが、俺は既に必死だ。
数十分にも感じる強烈な加速がようやく終わり徐々に登って行く。
これで終わりだろうと思い少しだけ気が緩むが、ゴッドサンダースプラッシュはどんどん登って行く。
「どれだけ登るんだ………」
既に中間地点の段階でものすごく高い。
今まで自分が高所恐怖症だと感じた事は無かったが、今の時点で足が竦んで恐怖を感じる。
まだか?
レールの最上段が見えてきたので登りはそろそろ終わりそうだが、もう下を見る事は叶わない。
永遠にも感じた登りは終了したと思った瞬間に今度は一気に落ちた。
「ぐわあああああぁ〜」
俺はダンジョンでもあげた事のないような叫び声を上げてしまった。
落ちる〜
どこまでも落ちる〜
体の中にある全ての臓器が飛び出す。
死ぬ………
まだ落ちている。
一体どれだけ落ちるのだろう。
ダンジョンで落ちたり飛ばされたりもした。
走馬灯のような物も何度か見た。
だが今のこの落下はそれらに勝る。
これは………家族で乗るもんじゃない。
恋人同士で乗る物でもない。
この乗り物を考えた奴は間違いなく狂っている。狂気の沙汰だ。
「ああああああああ〜」
今までに感じた事の無い落下による内臓へのプレッシャーを感じながら、目の前に水面が迫る。
死んだ………
「ドォッパアア〜ン」
強烈な衝撃と共に水面に向かって突っ込んで行き、その瞬間に水しぶきが激しく上がり、最前列だった俺に思いっきりかかった。
「うぷっ!」
やばい。かなり濡れた。この乗り物は一体何だ?
構造的に欠陥があるんじゃないか?
大量の水しぶきを浴びてしばらくすると、終着地点に到着した。
「終わった………」
「うん、すごく楽しかったね」
「………うん、そうだね」
春香の表情を見る限り本当に楽しかったようだが、歩いている俺の足がおかしい。
ふわふわして変な感じがする。
「写真だよ。どこにあるかな〜」
出口のところで写真を売っているが、どうやら俺達が乗っている写真の様だ。
「あ〜……」
俺はいち早く写真を見つける事に成功したが、そこには楽しそうに笑顔を浮かべる春香とその横には鬼気迫る表情の俺が写っていた。
どう考えても人に見せられるような顔では無い。
「海斗、笑顔がないね。途中でカメラがあったでしょ?あそこで笑顔だよ」
「カメラなんかあった?気付かなかったよ」
余裕が無かったせいかカメラの存在に全く気がつかなかった。
ゴッドサンダースプラッシュ、神の雷は伊達ではなく本当に強烈だったが、まだまだ1つ目の乗り物なので、ラッターランドはこれからだ。
ただ、1つ目のアトラクションにして既に疲れを感じてしまっている自分がいた。