A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (443)
第441話 3本の剣
そこからの探索は少しフォーメーションを変更した。
今まで常に後ろに控えさせていたシルとルシェを中衛に置く事にした。
魔核の効率は落ちるが、火力を重視した形だ。
他のメンバーも俺とシル達のやり取りを聞いていたのでフォーメーションの変更はスムーズにいったが、3人共シル達にいたく感銘を受けたとしきりに呟いていたのが少し気になった。
「ご主人様、敵モンスター2体です」
「それじゃあ、1体はシルとルシェでもう1体は他のメンバーでいこう」
そのまま進んで行くと緑と赤の下級龍が1体ずつ現れたので、すぐに交戦に入る。
カオリンが「アースウェイブ」を緑の下級龍にかけ動きを封じる。
そのタイミングでベルリアとあいりさんが駆けていく。
俺もバルザードの斬撃でブレスを阻害しようと身構えるが、ミクの火球が先に着弾して火球龍の口が開くのを防ぐ。
隣では赤い下級龍に向かってルシェが攻撃を放つ。
「ようやくだな。退屈だったんだ。あ〜ストレス溜まった〜。赤いの目障りなんだよ。さっさと消えろ『破滅の獄炎』」
魔法耐性が強くミクやヒカリンの火系の魔法でダメージを与える事が出来なかった下級龍だが、ルシェの獄炎によりあっという間に消し炭と化してしまった。
単純な火力量の問題なのかそれとも炎の質なのかやはりルシェの魔法は別格だった。
赤い下級龍が消滅するのとほぼ同時に緑の火球龍の首もあいりさんの斬鉄撃により落とされた。
「海斗〜腹が減った〜」
「わかってるよ」
うるさいルシェに魔核を渡すが、拗ねないようにシルにも同数を渡す。
圧倒的に攻略は楽になったが、やはり魔核が減っていく。
このままのペースで潜り続けると事前に貯めた分が全部無くなってしまうかもしれない。
剣であるシルとルシェを養うのも主である俺の役目なので魔核集めはこれからも一切手を抜く事は出来ない。
「海斗さん、ルシェ様の炎は下級龍に通用してたじゃ無いですか。私の魔法が効かないのは威力が足りないのでしょうか?」
「いや、ヒカリンの魔法はかなりの物だと思うけどな〜。俺とじゃ比較にもならないし。ルシェを基準に考えると中々難しいよな」
「次は爆発させてみてもいいですか?」
「あれは場所と状況次第だからな〜。安全の為にも出来るだけ使わない方がいいと思う」
「そうですか……」
俺達は更に進んで行き、順調に1/2の位置までマッピングに成功している。
「ご主人様、敵モンスターですが5体です。今までより数が多いのでお気をつけ下さい」
「多いな。シルも前に出てくれ」
進んで行くとカメラが3体に大こうもりが1体、下級龍が1体の5体が待ち受けていた。
「シル、雷撃で大こうもりを先に仕留めてくれ!」
「かしこまりました。こうもりはお任せ下さい『神の雷撃』」
一番に気をつけるべきはこうもりの超音波攻撃なので、速攻でシルの雷撃で落してもらう。
「ルシェ、カメラいけそうか?」
「は〜?誰に言ってんの?バカにしてるのか?いけるに決まってるだろ。気でも狂ったのか?」
「あ〜それじゃあとりあえず1体頼んだぞ」
「別に1体じゃなくて全部でもいいけどな。それじゃあやるぞ。鈍い亀は目障りなんだよ。くるくる回ってるんじゃ無いぞ。さっさと消えろ『侵食の息吹』」
ルシェの攻撃発動と共に真ん中のカメラの回転が止まり地面に落ちたと同時に溶け始めた。
精神汚染と共に身体が溶ける。
ルシェによる『侵食の息吹』はカメラにも問題無く効果を発揮したがやはりエグい。間違ってもくらいたくは無い。
真ん中のカメラの消失を見届けると同時に俺とあいりさんは下級龍に向かって行き、ベルリアはカメラへと向かって行く。
俺はあいりさんの一撃をサポートすべく、下級龍の牽制をする。
ブレスにさえ気をつけていれば、下級龍にはもうそれ程苦戦しなくなっている上にヒカリンとミクが動きを阻害してくれているので安心して戦うことが出来ている。
距離感だけは間違えない様に気を配りバルザードを振るい下級龍を追い詰めて行く。