A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (451)
第449話 階層主
「う〜ん、体が痛いなぁ〜」
「どうかしたの?」
「あ〜きつい。筋肉痛だよ」
「珍しいわね」
「昨日のアラクネ戦の影響だよ」
「ふ〜ん、筋肉痛だけならいいけど怪我しない様に気をつけなさいよ」
「ああ、分かってる」
俺は今15階層の探索を続けているが、昨日のアラクネ戦に苦戦したものの順調にマッピングをすすめている。
「そういえば、そろそろボス戦の対策考えた方がいいんじゃない?」
「対策って言ってもな〜、どんなのが出るか分からないしな」
15階層から各階層の終着点に階層主とでも呼ぶべきボス部屋が配置されている。
まるでゲームの様な仕組みだが、ボスモンスターの出現はランダムで自分で倒す事が出来るのは1度のみ。1度倒すと次からは出現しない。
しかも倒した事のあるパーティのメンバーが他のメンバーと組んでも出現はしない。
倒すまでは何度でも出現するが倒せるのは1人1回のみ。
なので、裏技的に先に進みたい場合は既に倒した事のあるメンバーと組めば戦わずに先に進む事が出来る。
ただ俺達の場合は、少しでもドロップの可能性を高める為にも当然倒して進む事になる。
「16階層への階段の手前にあるのよね」
「そうらしいけど、まあ俺達はいつも通りやるしかないな。シルとルシェもいるしどうにかなるでしょ」
「ご主人様、モンスターです。今度は3体います」
ミクとの雑談を切り上げてモンスターに備えて進んで行く。
「あ〜遂に出てきたな。みんな粘糸だけには注意してくれ」
目の前に現れたのはアラクネが3体。昨日よりも1体多いのでシル達にもしっかりと参戦してもらう。
「俺とあいりさんで1番右側のをやりましょう。ベルリアとヒカリンで2体の足止めをお願い。シルとルシェは狙えるタイミングで倒してくれ。ミクは各自のフォローを頼んだ」
前回同様俺はあいりさんと組んでアラクネに向かって行くが、敵モンスターは昨日の個体と同じ様に縦横無尽に移動を繰り返してこちらとの距離を詰めさせてくれない。
俺は左手の理力の手袋の力でアラクネの足の1本を掴んで動きを止めようとするが、残念ながらあっさりと振り切られ逃れられてしまった。
やはり理力の手袋は相手の不意をつくか、もう少し動きが少ないモンスターでないと有効ではない様だ。
あいりさんも前回の反省から無闇に距離を詰めずにある程度の距離を保ったまま敵の隙を窺っている。
2人で追っているとアラクネが前回同様に粘糸のネットを放出してきたのに対して先行していたあいりさんが即座に『アイアンボール』を発動してネットを迎撃する。
ネットの中心を撃ち抜いた鉄球は、粘糸のネットを巻き込み飛んでいった。
あいりさんがアラクネ用に立てた対策がこれだ。
常に『アイアンボール』を発動出来る距離を保ち、アラクネによるネットの放出と共に鉄球で撃ち落とす。
作戦が思った以上に上手くいったので俺とあいりさんはそのまま距離を詰めて行く。
後方からミクによる火球が飛んで来てアラクネの動きを一瞬止めたのを見計らって、再度あいりさんが『アイアンボール』を放ち、俺もドラグナーの引き金を引く。
アラクネも、足止めされた状態で時間差で放たれた2つの攻撃を避ける事は出来ずに両方の攻撃がアラクネ本体に命中し、そのまま消滅した。
残りの2体に目をやるが、今度はベルリアも上手く立ち回った様でネットに囚われる事無くしっかりと役目を果たした様で、相対したアラクネはルシェの獄炎で焼かれて消滅していた。
最後の1体も、ヒカリンがファイアボルトとアイスサークルで足止めし、シルが『神の雷撃』を放ち一瞬で消滅してしまった。
「今回は上手くいったな。誰も粘糸をくらわなかったし完勝だったんじゃ無いですか」
「そうだな。粘糸は前回で懲りたから、上手くいってよかったよ」
対策が功を奏して、アラクネ3体も問題無く退ける事が出来た。
この調子であれば注意を払えば今後アラクネも問題ないだろう。
どうやら、ようやく俺はリアルホラーハウスの呪縛から解放されそうだ。