A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (461)
第459話 水族館デート?
やっぱり春香のワンピース姿は最高だ。
何度見ても天使がこの地上に舞い降りたかと錯覚してしまいそうになる
ラッターランドで乗り物には懲りてしまったので今日は水族館に行く事にした。
勿論春香と水族館に行くのは初めてだが、魚好きの俺は行く前から密かに楽しみしていた。
「カメラ持ってきたんだね」
「うん、折角の水族館だから写真撮りたいなと思って」
「ここの水族館メインはマンタの群泳が見られるらしいよ。国内でこれだけの数がいるのはここだけだって」
「すごく楽しみだね」
水族館の中に入ると、思った以上に人が多い。
家族連れが多く、流石春休みといった所だろう。
「海斗はここに来た事あるの?」
「初めてだよ」
「私も初めてだよ。楽しみだねっ」
当然男だけで来る場所でも無いので来るのは初めてだが、俺の知っている水族館よりも一つ一つの水槽が大きいので見やすいし迫力がある。
目の前の水槽にはイワシの群れが泳いでいるが、数万匹が一つの塊になって群泳する様は圧巻だ。
「すごいな……」
「うん、テレビとかで見た事はあったけど迫力あるね。写真撮らなきゃ」
春香が写真を撮り終わるのを待つが、魚以上に真剣に写真を撮る春香の姿に目を奪われてしまう。やはり真剣な表情の春香は良い。
ボ〜ッと見惚れていると写真を撮り終えた春香が、あっちに行こうと声を掛けてきたので移動しようとした瞬間、俺の左手を春香の右手が包み込んで来た。
えっ!?
俺達は、そのまま手を繋いだ状態で奥の水槽まで進む事になったが、突然の出来事に顔に血液が集中して全身が熱い。
心臓の鼓動がドクドクと激しくなって来た。
「…………………」
春香から手を繋いで来た……のか?
これは混んでいるからか?
それともラッターランドでも手を繋いだから、手を繋ぐのは普通の事なのか?
俺の頭の中を答えの出るはずの無い問い掛けがぐるぐると回っている。
やばい。春香の手が柔らかくてスベスベ過ぎる。
頭に血が昇りすぎて鼻血が出そうだ……
「海斗、これ可愛いよ」
「ああ、これチンアナゴと錦アナゴだよ」
「これがチンアナゴなんだ。全部同じかと思ったら確かにちょっと模様が違うね。可愛い〜」
確かにチンアナゴはその独特のフォルムとサイズ感で一部の人達には人気だが、これって可愛いのか?どうも春香の可愛いと俺の可愛いは少し違うのかもしれない。
可愛いとは春香にこそふさわしい言葉だと思う。チンアナゴと春香を同列で語る事は憚れるので、可愛いと言うのとはちょっと違う気がするが、春香は真剣な顔で写真を連写している。
正直名前も見た目も微妙な気がするが、他のお客さんも口々に可愛いを連発しているので女性にはこれが可愛いのかもしれない。
チンアナゴの写真撮影が終わって次の水槽に移動しようとすると、また俺の左手が優しく春香の手で包まれた。
再び俺の全身の血が沸騰を始める。
「………………………」
やばい……本当に鼻血が出そうだ。
恥ずかしくて春香を見る事が出来ない。
声をかける事も出来ない。
声をかけて変に思われるのが怖くて無言になってしまう。
もしかして春香は水族館での移動は俺と手を繋いで移動するつもりなのか。
水族館を手を繋いで廻ると言うのはデートでは無いのか?
これはもうデートじゃないのか?
いや、でも勘違いして調子に乗って、春香にそんなつもりじゃ無かったとか言われたら立ち直れない。
それに周りをよく見ると結構手を繋いでいる人がいる。
女の子同士でも手を繋いで見ている人たちもいる。
やっぱり水族館は友達同士でも手を繋いで廻るところなのか?
あの女の子達は付き合ってるようには見えないので同級生か何かだろう。
もしかして春香もあの子達と同じノリなのか?
今迄女の子と水族館に来た事が無い俺には判断がつかない。
分からない………
どうしたらいいんだ。
でも一方で春香と手を繋いでいるこの瞬間が永遠に続いて欲しいと考えてしまうバカな自分がいる。
もしかしたら今この時が俺の人生のピークかもしれない。