A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (468)
第466話 16階層
「さすが高木様のパーティですね。もう15階層を攻略されたんですね」
「結構苦労しましたけどね。特に階層主のヴァンパイアは大変でした」
「えっ?ヴァンパイアですか?」
「はい。何度も消滅させたんですけど銀の武器じゃ無いからか再生して来て苦労しました」
「何度も再生ですか?」
「はい、倒しても倒しても復活してきました。パンツと一緒に」
「パンツ……ですか?」
俺達は15階層を攻略の報告を行う為に探索者ギルドを訪れている。
「そうです。不滅のブーメランパンツです。マジックアイテムでそういうの無いですか?」
「ブーメランパンツですか……私が知っている限りそのようなマジックアイテムは聞いた事がありません」
「そうですか。レアアイテムなのかもしれませんね」
やはりあの赤いブーメランパンツは普通のものでは無かったようだ。
「高木様、そもそもなのですが15階層の階層主としてヴァンパイアが出現したとは聞いた事がありません。しかも通常のヴァンパイアは、確かに再生力に優れているようですが、消滅から何度も復活できる程の能力があるとは思えません。高木様のお話が本当であればヴァンパイアでも上位種だったのかもしれません」
あの変態がヴァンパイアの上位種?確かに異常な程の再生力だったがそうなのだろうか?
「普通のヴァンパイアに会った事がないので判断がつかないのですが、かなりの変態でしたよ」
「気持ち悪かったのです」
「あれが上位種ってヴァンパイアってやっぱりやばいのね」
「あれはダメなヤツだったな」
「それほどですか。やはり特殊個体だったのかもしれませんね。それではドロップアイテムもそれなりの物が出たのでは無いでしょうか?」
「ああ、一応大きめの赤い魔核が出ました」
「それでは早速買取り致しましょうか?」
「ありがとうございます。でも今回は大丈夫です」
流石にサーバントが吸収してしまったとは言い辛い。
それにしてもあのヴァンパイアがイレギュラーなエンカウントだとすると、やっぱり俺のせいかな。
いや今回はどちらかと言うとシルとルシェの都合か?
とりあえずギルドへの報告が終わったのでダンジョンへ向かう事にする。
「………と言う訳で今週末に春香と会ってもらえないかな」
「もちろん大丈夫だけど。1度話しもしてみたかったし」
「私も是非お会いしてみたいのです」
「すまない。私は今週末は予定があるんだ」
「あいりさん、全然いいです。俺が無理にお願いしてるだけですから」
俺は道中昨日の出来事をメンバーに伝えて春香と会ってもらえる様に頼んでみたが、突然の頼みにもかかわらず2人来てくれる事になったのでありがたい限りだ。
「それにしても春香さんと会えると思うと楽しみね〜。オープンキャンパスの時は一瞬だったから」
「私は会った事が無いので楽しみなのです」
「う〜ん。それが残念ながら楽しいって感じでは無いんだよな〜。春香がなんでか怒ってると言うか、機嫌が悪い感じなんだよ。俺特に何もしてないと思うんだけど」
「今までメンバーの事は黙ってたの?」
「別に黙ってたって事はないけど、今までそんなにダンジョンの事とか話してこなかったし」
「あ〜。それでじゃない。まあでも大丈夫でしょ」
「しっかりダンジョンでの海斗さんの事もアピールしとくので大丈夫なのです」
「助かるよ」
昨日の春香はいつもと違ってちょっと怖かったので心配ではあるが、そもそも俺は何も悪い事はしていないのだから問題は無いはずだ。
昨日の感じでは春香はメンバーに女の子がいる事に怒っていたと思うが、女の子であっても十二分に力を発揮してくれているので探索には欠かせない。
しかもソロの俺に声をかけてくれたメンバーに問題があるとは全く思えない。
春香は何かしらの勘違いをしているのは間違い無いが昨日のあの場では俺に誤解を解く事は叶わなかったので週末まで待つしか無い。それまでなんとなく胃が痛い。