A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (470)
第468話 鬼退治
間合いに入った2人が鬼に攻撃を仕掛ける。
ベルリアは懐に入り足を斬る為に2刀を振るい、あいりさんは一歩引いた所から薙刀で頭部を狙った一撃をほぼ同時に放つが鬼は巨体を物ともせずジャンプしてベルリアの一撃を避けると刀であいりさんの薙刀もはじき返してしまった。
完全に武芸者ばりの動きだが、まだ俺が残っている。
飛び上がった鬼に向けて『ドラグナー』による一撃を放つ。
青い光と共に銃弾が放たれ一直線に鬼の頭部を捕らえたと思った瞬間、鬼が左腕で頭部をガードして来た。
銃弾は防御した左腕を潰す事に成功したが、頭部にダメージを与える事はできなかった様だ。
強いな……
単騎で俺達3人の攻撃を凌いだ。俺の一撃は完全に倒しにいった一撃だったのに腕1本だけで凌がれてしまった。
「ベルリア、あいりさん相手は片手だ!このまま手数で押し切るぞ!」
先程の攻撃を凌がれたとはいえ、相手は残った右手1本しか無い。
俺達は3人で剣が4本。負けるはずがない。
体格差の1番大きいベルリアは上部からの鬼の攻撃に気を使いながら2刀で鬼の下半身を徹底して狙っていく。
あいりさんも少し引いた所から薙刀を振るうが、リーチと身長の差で薙刀による間合いのアドバンテージがほぼ無くなってしまっている。
俺もリーチの差を少しでも埋める為に魔氷剣を発動させて攻撃を振るう。
何度か鬼の攻撃を受け止めたが重い。種族と体格の差だと思うがとにかく一撃が重い。
残念ながら正面から切り結ぶのは俺には無理だ。
ベルリアは懐に入っているのでダイレクトに打ち合っているが、剣圧は、ほぼ互角に見える。
体格差を考えると圧倒的にベルリアのポテンシャルが上だとは思うが、大人と子供というより熊と子供程の差があるので、ベルリアの膂力を持ってしても押し切ることは出来ていない。
ベルリアを攻撃に専念させる!
「ベルリア俺が前に立つからその間にお前が仕留めろ。ずっとは持たないからな!頼んだぞ」
「マイロードお任せください」
俺が懐に入れば身長差があるとは言えベルリアへの攻撃は防ぐ事が出来る。
その間に仕留めてもらう。
「おおおおおおぉおお〜」
臆病者と言われるかもしれないが流石に熊ほどある武芸者の前に立つのは勇気がいる。雄叫びを上げ恐怖心を追い払い、2歩程の距離を詰める。たった2歩だがこの2歩のプレッシャーが凄い。
距離を詰めると当然のように鬼が俺に向かって攻撃をかけて来た。
どう考えても片手で対応出来る剣撃ではないので、初めから魔氷剣を両手で構えて攻撃を受ける。
「おあっ!」
覚悟はしていたので初撃を耐える事が出来たが、思った以上にきつい。
俺では跳ね除けて切り返す力が足りない。
「ぐううう〜」
俺に力が足りないのを悟られたのかそのまま力技で押し込んで来た。
初撃は気合で防いだが力比べになると勝てるはずも無い。
『斬鉄撃』
あいりさんが必殺の一撃を繰り出し、鬼はあいりさんの一撃を受ける為に俺への圧力を弱めた。
「グウァッ」
俺とあいりさんに気を取られた鬼はベルリアにまで気を回す事は出来なかった様で、隙を見逃さなかったベルリアの『アクセルブースト』により両足を切断する事に成功した。
動きを完全に封じられた鬼に対して俺とあいりさんが同時に斬りかかり消失に追いやる事が出来た。
「かなり強かったな〜。オーガとは違う鬼みたいだったけど、ほぼ侍だったよな」
「いえ、マイロードこの程度の敵は問題ではありません」
「あ〜そうか……まあ次も頼んだぞ。でも1体であれだからな。何体も一緒に出て来たら結構きつい気がするな」
「そうだな、モンスターのくせに刀を使いこなしている様にも見えたしな。私の攻撃も結構防がれたし油断は禁物だろう」
「そうですね。あいつとは極力数的優位を作った状態で戦いたいですね」
16階層の探索が始まったばかりだが鬼の巣食うフロアは最初から油断ならない階層だと警鐘を鳴らしている様だ。