A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (484)
第482話 マジックポーション
ルシェの活躍もあり、小鬼を撃退した後も16階層の探索を続けたが数度の戦闘を経て初日は撤退する事となった。
時間的にはまだ余裕があったが、俺のMPが先に尽きてしまったのだ。
ゲートキーパー1回分を残してMPを使い切った所で切り上げる事になったのだが、初日でMPが尽きてしまうとは想定外だった。
鬼との戦闘の度に魔氷剣やナイトブリンガーを発動させ、『ドラグナー』をそれなりの回数使用したらMPがみるみるうちに枯渇してしまった。
明日、これ以上進もうとするなら、俺自身を温存しながらパーティの戦闘スタイルを変えてしまうか、ポーションを使うしかない。
低級ポーションはあくまでも体力と怪我の回復重視なのでMPの回復量は少なめだ。
やはりマジックポーションが必要かな。
今まで低級ポーションの使い勝手が良かったので、マジックポーションを購入する事は無かったが、この階層まで来たので必須かもしれない。
「みんな、悪いんだけど俺ダンジョンマーケットに寄ってから帰るよ」
「分かった」
「また明日よろしくなのです」
「海斗呼Qの鍛錬を忘れるな」
「………………」
呼Qの鍛錬って何をすればいいんだ?深呼吸でもしとけばいいのか?
とりあえず放っておくしかなさそうだな。
今度時間があったらアニメを見ても良いけど俺も受験生になるし、まあいいかな……
みんなと別れてダンジョンマーケットに向かう事にする。
「すいませ〜ん。マジックポーションを見せてもらって良いですか?マジックポーションを使った事はないので説明もお願いしていいですか?」
「はい、かしこまりました、マジックポーションはこちらです」
店員さんに案内されてマジックポーションのある場所に連れて行ってもらったが、当然のようにいつもの低級ポーションと同じ場所に置かれていた。
「ポーションのお使いは初めてですか?」
「いえ低級ポーションは結構使ってるんですけど、マジックポーションは初めてです」
「そうなんですね。ではマジックポーションの説明ですが、通常のポーションと同じく低級、中級、上級そしてその上の特級となっております。等級によりMPの回復量が異なります。ちなみに低級でMPが50前後回復致します。中級はほぼ100程回復しますが、価格は低級10万円、中級で50万円となっております」
「すいません、それだと中級よりも低級の方がお得じゃないですか?」
「そうですね費用対効果は低級が1番優れていますが、そう何本も飲めるものではありませんし、戦闘中に飲む事を考えると中級を選ばれる方も多いです。それと等級が上がるほど味も良くなっております」
「等級で味が違うんですか?」
「はい。誠に言い辛いのですが低級は美味しくないです。漢方を煮詰めたような独特な苦味があり、どうしても無理だと言われる方もいます。中級以上はかなり飲みやすくなっています」
「そうですか分かりました。それじゃあ低級を4本お願いします」
「初めての方には中級をお勧めしていますが低級でよろしかったですか?」
「はい、多分1日1本飲まないといけないので安い方が良いです。毎日飲んでも副作用とかは大丈夫ですか?」
「一応、身体に害は無い事が証明されていますが、飲みすぎるとお腹が緩くなる場合があるぐらいでしょうか」
「じゃあ、それでお願いします。あと、これはついでなんですけどエリクサーとかネクターとかって売ってたりしますか?」
「いえ、ここではそのような特別な霊薬は取り扱いが無いですね。私も勤めて結構長いですが一度も見た事ないですね」
やはり霊薬の類をダンジョンマーケットで買う事は難しいようなので、やはりダンジョンでどうにかして手に入れるしか無さそうだ。
マジックポーションの出費は痛いが、探索を進める為の必要経費と思って明日から積極的に活用していきたい。