A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (487)
第485話 お披露目
朝から16階層に挑むためにダンジョン前に集合してからダンジョンの中に入って行く。
「今日の俺は、何か違うと思わない?」
「……………?」
「気付かないかな」
「……………?」
「みんな本当に気付いてないの?」
「……………?」
「ほら、装備というか全く違うところがあると思わない?」
「いつも通り真っ黒ですよ」
「いや、色じゃなくて」
「あ〜分かった。マントの材質を変えたのね」
「いや、違う。そうじゃない」
「髪を切ったのか?」
「いえ、切っていません」
この人達は鈍いのだろうか?なんで俺がリュックを持っていない事に気がつかないんだ?
人って興味のない事にはこんなもんなのか………
ちょっと悲しい。
「ほら、見てよ」
俺はみんなに分かるようくるっとターンをして回って見せた。
「……………?」
ここまでやっても分からないのか…………
「俺今日荷物持ってないと思わない?」
「ああ、そういえばそうかも。まさか忘れて来たの?」
「お弁当だったら少し分けれますよ」
「ポーションとかも忘れたのか?」
「違いますよ。忘れてないですよ。ほらこれですよ」
俺は遂にメンバーに対してマジック腹巻をお披露目する。
「海斗さん、それは一体何ですか?」
「それって腹巻か?」
「それは海斗的にいけているのか?」
見ても分からないのか………
おっさんがレアだと言っていたが3人が分からないとなると本当にレアアイテムだったのかもしれない。
「これは、あれですよ」
メンバーによく分かるよう俺は腹巻のポケットに手を入れて殺虫剤を取り出して見せた。
「それってまさか………」
「そんなタイプあったのですか?」
「初めて見るな………」
「ようやく分かってくれましたか?これマジックストレージですよ。昨日入荷したんで買ったんですよ。良くないですか?」
「……………」
「………ああ、まあ」
「海斗さんらしいかも」
みんなもっと驚いてくれるかと思ったけど妙に反応が鈍いな。
「ほら、こんな感じで出し入れできるんだよ」
「海斗さんよく見るとそれって………」
「猫型………」
「ロボットだな」
猫型ロボットって俺もそれは少し思ったけど、探索者のイメージとは少し違うのであえてマジック腹巻とは言わずにマジックストレージとみんなには伝えたのだが、あまり意味は無かったようだ。
割と真剣にダンジョンは未来からやって来たのかもしれない。
「これで俺もようやくマジックストレージ持ちですよ。これで装備も完全に中級者以上ですよ」
「海斗の場合今まで持ってなかったのが不思議なだけで、元々普通に中級者以上でしょ」
「そうかな。とりあえず低級マジックポーションも4本買って来たんで今日は1日しっかり潜りましょう」
「海斗さん、マジックポーション飲んだ事ありますか?」
「いや無いよ、今までMPが枯渇するまで潜る事ってそんなになかったし普通に下級ポーションで用足りてたから」
「そうなのですね」
「ヒカリンは飲んだ事あるの?」
「はい、皆さんとパーティを組む前に一度だけ………」
「どうだったの?」
「MPはしっかり回復しましたよ」
「そうなんだ。味は?」
「………正直低級は2度と飲みたくありません」
「そんなに酷いの?」
「はい………」
確かにダンジョンマーケットの店員さんは中級を推して来ていたがそんなになのか……
確実に今日1本は飲む事になるだろうから、潜る前からテンションが下がりそうだ。
まあ、酷いと言ってもヒカリンと俺は味覚が違うかもしれない。
多分大丈夫だろう。
今日も1日頑張って探索を進めようと思う。