A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (497)
第495話 ダンジョンの難易度
俺達は16階層を進んでいる。
前日同様にマッピングした所までは午前中のうちに到達する事が出来て今は新しいエリアを探索している。
10階層を越えた辺りから感じていた事だが、階を進む毎に難易度が上がっていっている。
ベルリアのせいで出現する敵がおかしかった時を除くと、階が進むごとに敵が強くなっているだけではなく、明らかにダンジョンの分岐する数が増えている。
別にゲームでは無いのだから下の階層程難易度が上がる必要など無いはずだが、確実に難易度が上がっていっている。
シルやルシェの居ない他のパーティが探索を進めている事を考えると頭が下がる思いだが、サーバントを除いた戦力では他のパーティの方が勝っているのかもと思わされてしまうのでより努力しなければいけないと思う。
「今どの辺りまで来てるかわかる?」
「う〜ん多分だけど1/3ぐらいまでは来てるんじゃないかな」
「じゃあ、結構順調なのね」
「やっぱり連続で長時間潜れてるから、普段の探索より効率は上がってる気がするよね」
「じゃあ春休みの間に17階層まで行けそう?」
「実質あと3日無いからちょっと無理かも」
今の俺達の1番の目的は霊薬の入手。
階層を越える事が最優先ではないが、通常のモンスターが霊薬をドロップするとは考えられないので、必然的にエリアボスかそれに準じる様なレアモンスターを目的にする必要がある為、階層を越える際に現れる階層主は現在の所最優先事項にしたいところだ。
ただ各階層に1体しか現れない階層主を当てにするのも正直不安は残る。
ヒカリンも今は問題ない様に見えるのでまだ時間的な余裕はあると思うが、仮に20階層まで行けたとしても単純計算でチャンスは後4回しか無い事になる。
相当な引きが必要となるが、これについてはシルの言っていた因果律という不確かな物に期待するしかない。
「ご主人様、敵モンスターが4体います。ご準備をお願いします」
「それじゃあ、さっきと同じ4人で当たるぞ。残りのメンバーはしっかりフォローを頼んだ」
先に進んでいくと、そこにいたのは和風を思わせるフィールドには似つかわしくない西洋鎧を装備した鬼が4体群れていた。
見るからに防御力が高そうな鎧を装備しているが、問題は鬼の首にあたる部分までしっかりと鎧で守られている。
「あれって、どうすればいいんだ?」
兜をかぶっていないだけマシなのかもしれないが、剣がスムーズに通るとは思えない。
「転ばせてから集中攻撃じゃない?」
「ああ、重そうだからな、案外鈍いかもしれない」
「氷漬けなのです」
やってみるしか無い。
スナッチが前線に駆けて行き『ヘッジホッグ』を放つが鉄のニードルは鎧によって完全に弾かれてしまった。
あの鎧は見掛け倒しでは無く、見た目通りの防御力を誇っているらしい。
これにより、スナッチの攻撃力は完全に封じ込められてしまい、俺達の先制攻撃は失敗に終わった。
とにかく動きが鈍い事を期待して前に出るがこちらを認識した4体が動き出し、残念ながら普通に動けている。寧ろ素早いぐらいだ。
鬼の身体能力は鎧の重さをものともしない様だ。
ミクが火球を放つが『ヘッジホッグ』同様効果が薄い。
俺も隠れる場所も無く、向かって来る鬼と正面から交戦する事となる。
俺は既に魔氷剣を発動しているが、相手の武器は今までの刀では無くグレートソードに近い得物だ。
武器の有効距離では完全に負けているので、思い切って踏み込むしか無いが、正面からあれを掻い潜るのはかなり怖い。
効果は薄いがバルザードの斬撃を飛ばして牽制しながら、鬼の動きを止めて自分のタイミングで距離を詰める。
鬼の腕の長さと合わせると相手の射程は3M近くありそうだ。
もう少しで相手の間合いに入るが、踏み込んだ瞬間、鬼の剣が俺に向かって振るわれた。