A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (51)
第51話 パーティアタック?
俺はエリアボス戦で精根尽き果ててしまい、思い切って今週いっぱいは、ダンジョンに潜るのを休む事にした。
今までで一番の長期休暇となるが、消耗した状態で無理をすると危ない気がしたのでこれからの準備も兼ねて普段できなかった事もやってみようかと思う。
まずは真司と隼人に声をかけてみる。
「今週いっぱい、暇なんだけどどっか遊びに行かないか?」
「珍しいな。ダンジョンは潜らないのか?中毒症状出ないの?」
「中毒ってなんだよ。人を病気扱いするな!ちょっと頑張ったから休むんだよ。どっか行こうぜ。」
「そういや海斗は今2階層だっけ?」
「いや、ようやく5階層に潜ったところだけど。」
「え?5階層?まじで?まじで言ってる?そんなに進んでるのか?」
「ああ。まじで言ってる」
「レベル幾つなんだよ?」
「昨日レベル15に上がったとこ」
「レベル15!? お前万年レベル3じゃなかったっけ。なんか裏ワザあるのか?俺たちにも教えてくれ。金積んだのか?」
「そんなことするわけないだろ。実力だよ、実力。」
「海斗がダンジョンジャンキーなのは知ってたけど、すごいことになってるな。探索者のプロでやってけるんじゃないのか?せっかくだから、俺たちもつれてってくれよ。2階層でいいから。な、いいだろ。」
「お前らもダンジョン行きたいの?俺、今日から休んでるんだけど。」
「普段、5階層に潜ってるんだよな、2階層なんか休んでるようなもんだろ?頼むよ。この通り。」
拝んでくる2人を見て、2階層ぐらいだったら、リハビリがてらいいかなと思ってしまった。
もしかしたら末期の中毒かもしれない。
「わかったよ。2人とも準備してから明日の放課後な。」
「おおっ!楽しみだな。ご指導お願いします。海斗教官」
次の日の放課後、2人とそのままダンジョンに向かった。
2人とも以前の俺と変わらない軽装だが、武器はそれぞれ、金属製のバットと農耕用の鍬を持ってきていた。
貧弱だが、以前、木刀でゴブリンにソロバトルを挑んだ俺よりは随分マシに見える。
「それじゃあ。今から潜るけど打ち合わせしとくぞ。 2階層はゴブリンが単体で出現する。見つけたらまず俺が、ボウガンで足を狙う。機動力を奪ったところで、俺が前衛で注意を引くから2人は横か背後から一気に畳み掛けてくれ。狙うのは頭と首な。危なくなったらすぐに離脱してくれ。俺が仕留めるから。」
「おお〜っ。海斗がプロっぽい。しかし・・・お前のその格好なんなの?海にでも潜る気?どっかの変態みたいだな。」
「馬鹿にするな。これでも中古で50万もしたんだからな。カーボンナノチューブでできてるんだよ。」
「中古で50万もするの?騙されてないか?」
「ちょっと、そのぴっちりで誰かの中古って抵抗感あるよな。」
「お前ら、サポートしてもらう気ある? やっぱりやめとくか?」
「あ、よく見るとちょっとかっこいいかも、いやむしろオシャレかも。海斗先生お願いします。」
「調子良すぎだろ。まあいいけど作戦通りで頼むぞ。気をぬくと危ないからな。」
「「は〜い。海斗先生。」」
俺たち3人はそのまま2階層まで潜り、ゴブリンを探しているが、普段と違い、シルがいないのでかれこれ30分近く歩いている。
「なかなかでないもんだな。ゴブリンって本当にいるのか?」
隼人がそう言った直後、前方にゴブリンを発見した。
「俺がボウガンを射出して、ゴブリンの動きを止めたら、2人で頼むぞ」
そう言って、ゴブリンから10Mぐらいの地点まで近づいて、足を狙って連射した。
「グギャーギャギャ!」
うまく両足に刺さってくれた。 これで素早い動きを封じたので、あとは安全を確保しながら仕留めればいいだけだ。
あれ?
しばらく待ってみたが、一向に真司と隼人が攻撃をかけない。
???
後ろを振り向くと、2人とも顔を引きつらせて、固まっていた。
「おい、2人とも作戦通り頼むぞ。」
反応がない。
仕方がない俺が仕留めるか。
俺は、そのままゴブリンの頭部に向けてボウガンを射出して無事、仕留めた。
前途多難だなと思ったけど、まあこれからだと気持ちを切り替えて次に臨むことにした。