A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (536)
第534話 イレギュラー
俺は無事二日間学校に通う事が出来体調も万全だ。
今回の件は家族には事情を説明して、一応許してもらったが、父親はかなり心配していた。
ただ俺が将来専業で探索者をしたいと言うことと、ある程度俺の稼ぎを把握しているので強くは言って来なかった。
母親には、春香にお礼がしたいから今度家に連れて来る様にと厳命されてしまった。
そして土曜日を迎えたが探索をするにあたって一つ問題点があった。
もうスライムの魔核が無い……
ボス戦で全ての魔核を使い果たしてしまったので、売却分以外にもう一個も残っていない。
流石に今週はダンジョンに通う事は憚られたので一度も潜れていないが、魔核が無いときっとシル達がヘソを曲げるので現地調達しかない。
「おはようございます」
「もう身体は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで、ご心配おかけしました」
「それじゃあ換金に行きましょうか」
「あれ? ヒカリンは?」
「連絡があって風邪ひいてるから今日は休むって」
「そうなんだ。大丈夫かな」
「それほど酷くは無いみたいだけど」
「じゃあとりあえず、ギルドに行ってみようか」
ギルドの窓口に行くと日番谷さんがいたので早速声をかける。
「買取お願いします。魔核が百個ぐらいと、この魔戦斧なんですけど」
「随分多いですね」
「16階層のボス部屋で百鬼夜行が出まして」
「百鬼夜行ですか?」
「はい。鬼が百体出たんです」
「鬼が百体ですか?」
「はい、鬼が百体です」
「それで持ってこられたという事はクリアされたという事ですか?」
「はい、そうです」
「Kー12ってどこのパーティと組まれてましたか?」
「いえ、俺達はずっと単独パーティですよ」
「…………」
「どうかしましたか?」
「という事は皆さんの単独パーティだけで鬼を百鬼倒したという事ですか?」
「はい、そうです。流石に死ぬかと思いましたけど」
「高木さん、ちょっとおかしいですよ」
「何がですか?」
日番谷さんが何やら失礼な事を言ってくる。
「まず16階層のボス部屋に百鬼が現れたという報告は受けた事がありません」
「そう言われても出ましたよ」
「それが本当なら恐らくイレギュラーだと思います。ただ皆さんのパーティ単独で百鬼倒しきったというのは異常です。本来であればスタンピードに匹敵する数です。完全にレイド案件です。単独で突破できる数じゃありません。失礼ですが高木様のレベルをお聞きしても?」
「この前レベル22になりました」
「やはり異常です」
やっぱり今日の日番谷さんは失礼だ。俺は至って普通だ。おかしいとか異常とか言われるのは心外だ。
「高木様のレベルは、16階層において決して低いものではありません。むしろ短期間でのレベルアップは目を見張るものがあります。ただ単独パーティで百鬼を相手にできる様な圧倒的な数値では無いんです。例え高木様のサーバント三体が上位種だとしてもです」
「そう言われても、なんとかなりましたよ。最後は動けなくなるまで頑張りましたけど」
「う〜ん、実際に魔核もお持ちいただいていますし、嘘をつく意味がないので信じるほか無いのですが、完全に規格外です。サーバントを含め今までエンカウントした敵もおかしいですし完全にイレギュラーです」
「イレギュラーですか?」
「はい。高木様がなのか、パーティ全体なのかはわかりかねますが、最近の高木様は明らかに特異です。普通の探索者は、こんなに色々無いんです。」
改めて第三者から言われると、自分はちょっと普通では無いという事を再認識してしまう。
実は薄々自分でも気づいてはいた。
普通の探索者に比べて色々あるなとは思っていた。
百鬼だけじゃ無く、スタンピードやブーメランパンツの件も普通では無いのは気づいていた。
ただこれが因果律によるものなのか、それとも不幸体質の為なのかは自分では分からない。