A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (540)
第538話 素晴らしきかな一階層
ついに俺は念願の一階層で探索をしているが、やはりここは落ち着く。モンスターの襲来に神経を尖らせる必要も無く自分のペースで探索出来るので正にダンジョンでのマイホームといった気分になる。
「一週間以上来れてなかったからな〜。昨日も魔核はギリギリだったし今週一週間頑張らないと週末の探索に影響が出る。魔核が不足している状態で十七階層は無理だぞ」
「海斗、ベルリア、頑張れよ! 魔核がもらえないダンジョンなんている意味がないからな!」
「はい。ルシェ姫精一杯頑張ります」
「そういえばベルリアも魔剣になったんだし、その刀であっさり倒せるんじゃ無いか?」
通常の刀とスライムは相性が悪そうだが魔剣であれば付加効果で難なく倒せそうな気がする。
「やって見ます」
しばらくスライムに対にして俺は攻撃を控え、ベルリアの戦いを見ていたが、結果炎の刀は、斬りつけるとスライムを蒸発させながら斬り裂きあっという間に倒す事ができたが、もう一本の風を纏った刀は残念ながらダメだった。風が一瞬スライムを刻むが、すぐに元に戻ってしまい、薄い刃の刀ではなかなか倒す事が出来ずに苦戦してしまっていた。
やはりスライムは攻撃力が皆無で弱いものの倒すには相性が大事らしい。
思いつきでベルリアの炎の刀を振るう際に殺虫剤ブレスを吹きかけて見たが一気に吹き出し口まで炎が回り、焦って殺虫剤の缶を手放してしまった。
やはり戦闘中に思いつきで余計な事はするものでは無いと痛感してしまったが危うく引火爆発を招いてダンジョンで大惨事を招きかねなかった。
そこからは、ベルリアは炎の刀を使い、俺は大人しく殺虫剤ブレスを使ってどんどんスライムを倒していった。
スムーズな連携でスライムとの戦闘時間は少し短縮されたがスライムのエンカウント率は変わらない為、魔核の獲得数は、ほぼ横ばいで一日で三十五個が上限となっていた。
五日間で二百個を目標に頑張ったが金曜日終了時点で少し足りなかった。
ただこれで土日は思う存分魔核を使用する事が出来そうなので、シルとルシェの新しいスキルも試してみたいと思う。
そしてこの一週間は俺にしては珍しく学校以外でも家で勉強をした。
約束通り俺が休んでいた3日間のノートを春香が貸してくれたので、それを見ながら復習していた。
「やっぱり、俺とは違うな」
春香の貸してくれたノートは俺のノートとは全く違った。
まず字が細くて綺麗。字を見ただけで女の子のノートと一目でわかる。
そして俺のノートはとにかく授業の板書をほぼそのままの順番で羅列しただけだが、春香のノートは要点にマーカーが引いてありしかも、わかりやすいように整理して書かれてある。
正直教師がこれを元に板書すれば、みんなもっと頭が良くなるんじゃ無いかと思う。
授業を受けていないのにノートを見ただけで、教科書の内容が理解出来る。流石は春香だ。ノートの書き方がここまで違うとは思わなかった。
やっぱり授業に対する理解度が違うのかもしれない。
俺はとにかく授業中集中して覚える。とにかく全部覚える。覚えたら答えが書ける。それを基本にやってきたが、これを見てしまうと受験もあるので勉強の仕方も少し変える必要があるかもと思わされる。
いずれにしても、入院でもお世話になったしノートのお礼もしなければならない。
どんなお礼が良いだろうか? スィーツのセットとかがいいかもしれないが、よく考えると春香の誕生日が近いのでそれも何か考えないといけない。
春香の誕生日は四月三十日に俺は五月で十八歳となり成人を迎えるが大人になると何か変わるんだろうか? 残念ながら今のところ全く実感は湧いていない。