A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (546)
第544話 特攻
俺達はワイバーンを倒して更に十七階層の探索を進めて行く。
「ミク、あいりさん、気を悪くせずに聞いてほしいんですけど、十七階層で霊薬って出ると思いますか?」
「………普通なら無理ね」
「私も詳しくは無いが、霊薬と呼ばれる様なものは二十階層、いや二十五層より下で見つかっている事がほとんどじゃ無いか?」
「やっぱりそうですか……。ヒカリンの感じからすると俺達が二十階層にたどり着くまでは正直難しいと思うんです。攻略が順調にいったとしても十七、十八、十九階層ぐらいまでがリミットかもしれないと思ってるんです」
「そうかもしれないわね」
「最大でもチャンスは後三回って事だな」
「はい。それも順調に進んでの事です。ヒカリンがいない分は確実にペースが落ちると思います。それがどのくらいかは分かりませんがそれも想定しながら進む必要があると思います」
みんな口には出さないものの、今回の事が難しいという事は理解している様だが、どうにか限られたチャンスを生かして霊薬を手に入れてみせる。
「ご主人様、お話し中ですがモンスターです。この先の右奥に四体待ち構えています」
「それじゃあ、シルもルシェもさっきのスキルは無しで、それ以外は積極的に行こう」
先程と同じフォーメーションでモンスターの方へ進んで行く。
「やっぱり竜か……」
「ちょっとサイズは小さいけど火竜ね」
「おそらく火竜の下位種だろうな」
ダンジョンの中で進む先が一際明るくなっており、その光源の元になっているのが四体の火竜。
身体の至る所から炎が立ち昇っており、その炎に照らされて竜の周辺だけが明るくなっている。
俺はあいりさんと目配せをして火竜に向かって走り出す。
火竜に警戒しながらも一気に距離を詰め『ドラグナー』を放つが蒼い閃光を放った銃弾が火竜の頭を完全に撃ち抜いて消滅に追いやる。
「え……」
頑強で怖そうな火竜だったが『ドラグナー』の一撃で倒す事が出来てしまった。
先程のワイバーンの時にも威力が増しているのを感じたが、もしかしてそういう事か?
恐らく俺の魔銃『ドラグナー』の名前の由来はドラゴンだろう。
特にドラゴンを想起させる様なデザインでも無いのに、この名前なのは意味があるのでは無いだろうか?
つまり『ドラグナー』はドラゴンに対して特攻を持っているのでは無いかと思う。
多分、火竜とワイバーンへの二回の使用による威力の向上を見る限り間違いない様に思える。
「あいりさん、フォローに入ります」
俺はすぐにあいりさんの方へと走り出してフォローに入ろうと背後に陣取るが『ドラグナー』にドラゴンへの特攻があるかも知れないと思い、再度その効果を検証すべく、火竜の頭を狙い後方から『ドラグナー』を放った。
先程同様に蒼い光を放った銃弾は一直線に火竜の頭を捉え、そのまま破壊した。
もう、間違い無い。
完全に他のモンスターに使用した時よりも威力が跳ね上がっているのが分かる。
「海斗、助かったが火竜を一撃って凄く無いか?」
「はい、俺もそう思います」
実質一撃で仕留めてしまったので、俺が一番先に戦闘を終えたが、ベルリアとシルは、まだ火竜と交戦している。
「ご主人様が先に戦闘を終えられた様です。これ以上、あなたを相手にグズグズしているわけにはいきません。もう消えてください。我が敵を穿て神槍ラジュネイト」
」
シルが神槍を発動して火竜に攻撃を仕掛けると、当然の様に一撃で消滅に追いやる事に成功した。
やはりシルの攻撃力の前には特攻とか関係ない。シルの一撃は全ての敵に対して絶大な威力を発揮するな。