A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (560)
第558話 言葉のあや
やはり高火力の銃器にもデメリットはあるようだ。
無条件に恩恵だけ受けられる訳ではないようで、恐らく高火力であればあるほど、ルシェのように反動は大きそうだ。
俺達は地面に落ちている魔核を回収してから先を急ぐことにする。
「冬彦さん、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「ああ、なんだ?」
「実は、俺達霊薬を探してるんです」
「霊薬?」
「はいエリクサーとかソーマとかそんなアイテムです」
「ああ、そういうやつか」
「冬彦さん達は持ってたりしませんか? もしあれば売ってもらえたりしないですか?」
「悪いな。俺達が今まで手に入れた薬で一番上はハイポーションだ。それより上にはお目にかかった事はないな」
「そうですか、やっぱりなかなか出ないんですかね」
「オークションに出回るって話は聞いた事があるが、実物は見た事もないな。どうしてそんな高位の霊薬が必要なんだ?」
「俺達本当はもう一人メンバーがいるんですけど、病気で……もう霊薬に頼るしかなくて」
「そんな事情があったのか。恐らく市場には出る事がないんなじゃないか? 直接ゴールドランカーとかに交渉しないと無理かもしれない」
ゴールドランカーか、一度も会った事がないな。そもそもこのエリアにいるんだろうか?
「冬彦さん達はお知り合いにいたりしますか?」
「いや、残念だけどいないな。本格的に潜ってる奴ほど基本探索者ってダンジョンに潜る以外での交流って少ないだろう」
確かに冬彦さんの言っている事ももっともだ。毎日のようにダンジョンに潜っていたら他の探索者と交流する事はほとんど無い。
「あ、そこ危ないぞ!」
「え?」
冬彦さんの声で足を止めるが目の前の側面から炎が吹き出して来た。
「アチッ!」
炎にまかれる事は無かったが、熱気が伝わってくる。
「この階層は、十六階層に比べるとトラップ多めだからな。気をつけた方がいいぞ」
「あ、ありがとうございます」
今のも冬彦さんに声をかけてもらわなければ結構危なかったな。
「ベルリア、気づかなかったのか?」
「マイロード、もちろん気がついていましたよ」
「それじゃあ、なんで言ってくれないんだよ」
「シル姫に感知しないように言っていたので、私も伝え無い方がいいのかと」
確かに、目立たない様にシルにはモンスターを感知しても伝えないでくれとは言っていたが、ベルリアそこは伝えて欲しかった。
もしかしたらトラップで死んでたかもしれないんだぞ。
「ベルリア……次からは伝えてくれるか?」
「はいわかりました。それでは、あそこにもトラップがあります」
ベルリアが五メートルほど前方を指差した。
「あんなところにもあるのか……ベルリア危険がある時は必ず伝えてくれ。頼んだぞ」
「わかりました。任せてください」
俺が言い出した事とはいえ、また危ない目に遭うところだった。
そこからは、十分にトラップに気をつけながら進んで行った。
「その男の子のサーバントはトラップ看破のスキル持ちなのか?」
「いえ、スキルでは無いです。勘というか、第六感みたいな感じだと思います」
「便利なものだな」
「冬彦! モンスターよ。この先三十メートルぐらいのところに五体いるわよ」
凛さんが、モンスターの存在を告げてくれた。
「俺達が三体受け持ちますね」
「ああ、助かるよ」
進んで行くとワイバーンが空中に二体。地竜が二体。もう一体は見た事のない個体が一体いた。
「冬彦さん達にワイバーンを頼んでいいですか? 俺達が残りを倒します」
「わかった」
「ルシェ、どうする? 見学するか?」
「ふざけるな! あの岩蜥蜴はわたしがやる!」
「それじゃあ、地竜はシルとルシェで頼むな。残りのメンバーであれに当たろう」
俺達は三体のドラゴンに向かって行く。