A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (573)
第571話 亜種?
ベルリアがもう一方の炎の魔刀で斬りかかるが、やはり弾かれてしまった。
どうやらこのドラゴンは風と炎には、かなりの耐性を持っているようだ。
あいりさんが続けて『斬鉄撃』を繰り出す。
薙刀の一撃は風の壁を抜け風竜にダメージを与えることに成功した。
あと少しで倒せる。
ベルリアがジャンプして回転しながら『ダブルアクセルブースト』を発動して、力尽くで風の障壁を突破して風竜へとどめをさした。
「ベルリアよくやった。ベルリアとは相性がよくなかったな」
「この程度の敵相性など問題になりません」
「まあ、倒せたからよかったよ」
思った以上にこの風竜に手こずってしまった。
風と炎と物理に耐性があったようなのでかなり攻撃を限定されてしまった。
それを考えると雷系と『ドラグナー』はドラゴンに対する有効度が高いな。
「海斗、まさか『アイアンボール』が逸らされるとは思わなかったよ。雷竜に続きドラゴンへの戦い方は注意が必要だな」
「そうですね。それにこれまで出現しているドラゴンは、比較的小型ですよね。おそらくレッサーと呼ばれる下位種なので、この階層で上位種が出るかはわかりませんが、注意は必要ですね」
ここまでで、炎、地、水、雷、風の属性竜が出現しているので、考えられるほぼ全ての属性が出て来たことになるが、まだダンジョンの序盤なのでこれで全ての種類のドラゴンが出て来たとは思えない。
「ご主人様お腹が空きました」
「ああ、わかってるよ」
「マイロード私にもお願いしてよろしいでしょうか」
「まあ、頑張ったからな」
「当然わたしにもくれよ」
「ルシェ、さすがに今回は無理だぞ」
「わたしもお腹が空いたんだよ!」
「今回、ルシェは何かしたのか?」
「しっかり見てたぞ!」
「見てるだけじゃな〜。次回頑張れ」
「う〜っ……」
何か俺が悪いような雰囲気だが、今回ルシェの出番は無く全くMPもHPも消費していないのだから、食べたいだけのルシェには今回はおあずけだ。
次にスキルの一回でも発動したら魔核を渡そうと思う。
それにしても、他の二人と一緒になってもらいにくるとは強欲というかちゃっかりしているな。さすがはルシェだ。
そこから数度の戦いを経て先日マッピングしたポイントを越えて更に探索を続ける。
「ご主人様、敵モンスター四体です」
「おい、海斗! 今度はわたしもやるからな。ちゃんと魔核をくれよ」
「わかってるって。それじゃあ今回はスナッチに露払いしてもらうから頼んだぞ」
スナッチも前衛の俺達と並んで敵を目指して進む。
「あれって、一応水竜と地竜の一種か?」
「そうみたいだな」
眼前に見えているのはドラゴン四体だが今までに出てきた属性竜のどの姿とも異なっている。
二体は表面に氷を纏っており、もう二体は外皮が明らかに金属でできている。
水竜と地竜の亜種か?
いずれにしても、水竜、地竜よりも目に見えて防御力が高そうだ。
とりあえずメタリックのドラゴンとルシェの相性が悪いことはわかる。
ドラゴン四体がこちらに気がついたので、スナッチが前方へと駆け出し『ヘッジホッグ』を発動してから戻って来るが、鉄の針はドラゴンの外皮を貫通することはなくダメージを与えることはできなかったようだ。
どうやら見た目通りに硬いらしい。
「さっさとくたばれ。くたばってわたしの魔核の足しになれ! 『破滅の獄炎』」
ストレスを溜めていたルシェが俺達に先駆けて先制攻撃を仕掛けた。
ルシェが獄炎を放った相手は、なぜかメタリックのドラゴンだった。
ルシェ……その竜はどう考えても相性が悪いだろ。地竜の耐性を更に高めたような奴だぞ。燃やせるのか?