A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (576)
第574話 予約はお早めに
「そういえばベルリア、さっき氷竜がスキルを使った時どうして転ばなかったんだ?」
「マイロード、それは修練の賜物です」
修練の賜物と言われても全く意味がわからない。
「あいりさんも転びませんでしたよね」
「ああ、危なかったが、日頃体幹を鍛えているのが役に立ったな」
「体幹ですか」
「そうだ。武術において体幹を鍛える事は必須だからな」
「それをやれば俺も転ばなくなりますか?」
「転び難くはなると思う」
そうか、俺と二人の違いは体幹を鍛えているかどうかか。
たしかにアスリートがよく体幹トレーニングとかって口にしているのを聞いた事がある。
今後の為にも体幹トレーニングというのをやってみようかな。
さっきのような場面で派手に転ぶのと耐え切るのでは命にかかわってくるので真剣に検討しようと思う。
この後もマッピングを進め数度の戦闘を経て、この日の探索を終える事にした。
「今日は結構順調でしたね」
「ああ、この調子で明日も頑張ろう」
明日の行動予定を確認してから俺はみんなと別れて家に帰った。
今日も問題なく順調に進むことができたが、やはりヒカリンがいないせいで、後方からのサポートが若干弱くなっているのは感じる。
おそらくヒカリンの『アースウェイブ』はドラゴンに対してもかなり有効だったと思われる。
俺も隠密というよりも正面から戦う機会が増えてしまっているので、確実にヒカリン不在の影響が出ている。
今後ヒカリンの代わりにはなり得ないが、この階層では、ほとんど活躍していないスナッチに今まで以上に活躍してもらう必要がある。
「あ!」
地上に出ると、春香から俺のスマホに明日の予定を確認する連絡が入っている。
そういえばまだお店を予約してない。
やばい、頭から抜けていた。
俺は慌てて、お店の予約サイトで検索を始める。
「なにがいいかな」
せっかくの誕生日なので、春香が喜んでくれそうなお店がいいけど、俺には発想力が乏しいようで女の子はパスタが好き。という事は女の子はイタリアンレストランが好きぐらいしか思いつかない。
いろいろ思い浮かべて見たが
「やっぱりイタリアンだな」
検索をかけると数件のイタリアンレストランがヒットしたが、スマホで見る限りどのお店もおしゃれで美味しそうに見える。
順番に見ていくが、だいたい二人で五千円から七千円ぐらいのプランが多いようだ。
「これがいいかな〜」
目にとまったお店の予約画面に進むが、なんと明日の予約欄がすべてバツがついていて予約できない。
「うそだろ……」
ミク達が予約しないと危ないとは言っていたが、本当だった。
焦った俺は順番に他のお店の予約画面も確認していく。
「やばい……」
日曜日の夜ってそんなにみんな外食しているのか?
どのお店もいっぱいだ。
俺から誘っておいてお店が取れないって……
信じられないが、予約サイトにのっているお店はどのお店もいっぱいで予約を取ることはできなかった。
悩んでいても仕方がない。
俺は再度お店の画面を開き、とにかく順番に電話していく事にする。
「もしもし、明日の夜なんですけど二名いけますか?」
「申し訳ございません。生憎その時間はご予約でいっぱいとなっております」
「そうですか。わかりました」
一軒目は電話で確認してもやっぱりいっぱいだった。
俺はその後も順番に電話をかけていった。
四軒目までずべて断られて、五軒目のお店に電話した時だった
「はい明日の夜です」
「ちょうど明日の夜に一組キャンセルが出まして、今でしたらご予約していただけますよ」
「本当ですか! それじゃあ予約お願いします」
たまたまキャンセルが出て席が空いてると言われたので即予約して、コース料理を頼んでおいた。
それにしても、予約なしで行こうと思っていた自分が恐ろしい。
予約せずに明日を迎えていたら大変なことになるところだった。
予約を勧めてくれた、ミクとあいりさんには感謝だな。
それにしても今回の予約で日曜日のイタリアンは人気だと思い知らされることになった。